・・・・都会にはめずらしく 朝霧が漂っていた


熱いコーヒーを片手に

ヒールの音をリズムよく響かせて 彼女は駐車場に急いだ。


形のよい日本人離れしたヒップから、すらりと伸びた足に

スリムのブルーデニムが形良くなじんでいる。


赤のクーぺに乗り込むと、イグニションにキーを差込み

エンジンをかける


あぁ このエンジン音がたまらない 


彼女はそっと目を閉じ

その しなやかな身体をシートへ沈みこませていった~







みたいな~  


ふふっ



そう “片岡義男”という作家の書く 独特のタッチが

こんな感じなの。


うん、うん。


って頷いちゃった人は?きっと私と同世代だねぇ~


あの頃、私はこの人の本を片っ端から読んでいたの


なんでだろう~?




なんかカッコイイ!!! って思ってたんだよね


特に登場する女性は、いつもとびきりカッコイイ女

ばかりだったの


必ず車に乗ってて、運転がすごく上手くて

乗ってる車は、クーペかステーションワゴン

ハンドルって書かないで、ステアリングホイールとか書いてあるの

その頃の私には、彼の小説に出てくる車はすべて

特別かっこいい乗り物に思えてならなかった


その女性達は、決まって頭も良くて賢いの。

片手間で会社経営しているような、キャリアウーマン?!が主人公だったり

したっけなぁ

おまけにスタイルもすごくいいから~

将来の自分の姿と重ねあわせては、くらくらしていたものでした。




Hahahahah~

これじゃ私の年が、バレバレだよねぇ~(苦笑)





まっ!いっかぁ~




とにかく憧れみたいなもんだったんよ・・・


そーゆー“おんな”





で、実際大人になった私は?


外車には乗っているけれど、G じゃないわ

SW のなぜか?セダンだし~


会社も経営してるけど

毎年やってくる決算に殺されそうになってるし~


経費節約~って言いながら

帳簿を自分でつけてるんだけど

毎年やるのは、提出日の一週間前から


毎年必ず

「来年こそは!マメに帳簿をつけるぞぉ~」

って、毎年必ず決心するわけ




おまけに頭悪いから

ろくなこと無いわけよ



んで、背はちっちゃいでしょう?


なんかあまりに外れていて

笑っちゃうね






んで、何が言いたいかって?


いや今朝、撮影会に行く途中

マックモーニングを買ってね・・・


コーヒー片手に車まで歩いているときに

ふと “片岡義男” の小説を思い出したの


理想と現実の違いに、思わず吹き出しちゃった



だって



コーヒーを飲もうとしたら?

「あっちっち~」ってなるし・・・

カッコつけて、コーヒーを片手に持ったばっかりに

車のドア開けるとき、両手ふさがってて


「あらら、どうしよっ」


って思うし。







で?

けっきょくマックの紙袋口にくわえて

ドア開けたわ~







Ahahahhaha~~~~