(もしかして、これは…)村人たちにとって希望をもたらす英雄が現れるのを信じてやまなかったが、とうとうやってきたのだ。なんと白馬に乗った仮面女・ダイヤモンド・ヴェールだった。

 「ついに来たか、ダイヤモンド・ヴェール…この日を待ってたぞ」

 「しつこいわね。またワタシと戦うとは」

 「今度こそ貴様を倒す自信はある。シャネットよ、出てこい!」カッツェに呼び出されたシャネットが現れると、ダイヤモンド・ヴェールは、

 「なぜ生き返った…オマエは死んだはずだったが…」と不思議そうに見つめていた。

 「ダイヤモンド・ヴェールよ。またお主と戦えるとは。必ず倒す」

 「覚悟はしてるわ」

 「悔しかったらやってごらんなさいな。アタシにはHAGEの将来を背負っている。だから今回の戦いは負けられない!」

 「ワタシは村人たちの想いに応えるために全力で戦う!」やがて空が黒い雲に覆われると、雷が鳴り始め、稲妻が走った。稲妻はダイヤモンド・ヴェールの赤い鞭に落ちると、強烈なエナジーを蓄えていた。その鞭は黄金色に光らせながらエナジーを放っている。

 「シャネットよ。オマエの息の根は必ず止める」彼女は愛馬・ビアンコにまたがると、

 「そうはさせるものか!アタシがここまで甦ったのは博士のおかげだ。博士に強力なパワーを注入され、今度こそお主を倒して阿沙比奈村を我々のものにする」シャネットは身軽ですばしっこい動きでダイヤモンド・ヴェールの攻撃をかわすと、頭上の角からビームを放ち、

 「どうだ…このビームを受けると、お主の攻撃力は軒並みダウンだ。さらにお主を邪悪な心に変えて我々の一員になるのだ」

 「そうはさせないわ!ワタシには村人の想いが集まった、この鞭がある!これさえあれば自在にオマエの息の根は簡単に止められる。受けてみろ!」ダイヤモンド・ヴェールはビアンコとともにシャネットに立ち向かうが、最強の武器ともいえる、長くとがった毒牙でビアンコに噛みついた。ビアンコはその場で倒れ、傷口から血が流れ出すと、

 「どうだ…この牙に噛まれたら全身毒が回って死に至る。お主の馬はもうあの世行きだ」

 「ビアンコ!どうか助かってくれ!このままでは毒が回って…」ビアンコは血を流したまま動けなくなっていた。

 「ダイヤモンド・ヴェールよ。お主も同じ目に遭わせてやるよ」シャネットは口を大きく開け、その長い牙でダイヤモンド・ヴェールに噛みつこうとしたが、かわされた。

 「ちくしょう、かわされたか!すばっしこい奴め。もう一度喰らわしてやる!」今度は頭部の角から光線を放った。ダイヤモンド・ヴェールは光線を受けてしまい、意識が朦朧になった。

 「見事に効いたな、お主は我々のしもべになるのだ」カッツェも、

 「いいぞ!シャネット!さすが秘密兵器だ!ダイヤモンド・ヴェールよ、この光線を浴びると貴様は私どものしもべだ。ひれ伏するがいい」しかし光線を浴びたダイヤモンド・ヴェールは我が身よりビアンコが心配だ。

 (早くしないと全身に毒が回ってしまう…どうか助かってくれ、相棒よ…)すると、村人たちが応援に駆けつけた。

 「ダイヤモンド・ヴェール!頑張れ!負けるな!」

 「いつでもお前の味方だ。あんな雑魚どもなんかコテンパンにしてくれよ!」

 「阿沙比奈村に平和を呼び戻せ!」

 「HAGEの圧力に屈するな!阿沙比奈村を守れるのはお前しかいないぞ!」そこにはかたつむり農園の立見宗二郎やお手伝いの川山絵美と七村野絵にさゆり牧場の羽多間夫妻も彼女に声援を送った。

 (皆、ありがとう…ワタシはこの声援に応えたい…そのためにヤツらには負けるわけにはいかない…絶対勝ってみせる…!)

 「お願い…ビアンコを助けて…ワタシに力を貸して…愛する阿沙比奈村を守るために…!」すると、稲妻のエナジーを蓄えていた鞭からそれまでに見たことがない光が瀕死状態のビアンコに浴びると驚異的な回復をした。シャネットに噛まれた傷もなくなっていた。

 (これはいったい…何かの魔法なのか…?)HAGE一味は驚いていた。さらにダイヤモンド・ヴェールもその光を浴びると、すっかり回復し再び闘志が沸きあがった。そして、その鞭をロープのように操り、シャネットの体に巻きつけた。

 「な…何をする…こんな雑魚っちい技で勝てると思ってるのか…?」体を巻きつけられ身動きが取れなくなった彼女は必死にほどこうとしたが、

 「く…苦しい…息ができない…」どうあがいてもほどけない。さらにきつく締められていく。声援を送る村人たちも、

 「よし!この調子だ!いいぞ、もっとやれ!」とダイヤモンド・ヴェールの闘志に拍車をかけた。

 「あの世送りになるのはオマエのほうだ。このままもがき苦しめ」

 「う…動けない…お主のような雑魚にこんな能力があるとは…」やがてシャネットに巻きついた鞭は稲妻のエナジーを強力に放つと彼女の体は、

 「ギャーーーーーーッ!!」と悲鳴が上がり雷に打たれたかのように気を失った。

 

 

 (つづく)