身体一つで家を出てきたので
これから先の事を考えると
どうしても、着替えや、金銭等を取りに戻る必要がありました

一睡もしておらず
精神的にも、肉体的にも
かなりのダメージを受けておりましたが
時間を置くことで、元旦那の警戒心が高まってしまうと思い
陽が昇ってから、荷物を取りに行くことを決意しました


友達に自転車を、借りて行こうと思ったのですが
一人では危険だからと言うことで
車で乗せて行ってくれるというので
好意に甘えることにしました

家に入って荷物をとっている間は
玄関の扉を開けっ放しにするように
(すぐに逃げれるようにするため)
とのアドバイスを受けました


少し離れた場所に車を停めて
友達が待機してくれていました


泥酔状態で、恐らく相手も夕べは寝ていないでしょうから
今頃はきっと寝入り込んでいるだろうと
見込んで忍び込みました

元旦那は
案の定、大いびきをかいて寝入っていました
そっと2階に上がり
必要最低限の着替えと、預貯金の通帳を持ちました

携帯電話は、台所で寝入り込んでいた
元旦那の身体の下敷きになっており
起こさぬように、必死で抜き取りました

何とか気づかれずに、家を出ることができ
友達の車に戻ると
『車は持っていかないの』と言いました
私が乗っていた車は、かなり大きくて目立つし
エンジンの音で、元旦那が起きてしまう可能性が
高かったので、置いていくつもりだったのですが
『車があれば、移動も楽だし、車内で寝ることも出来る
最悪、売ってしまえばイイしね
と言われ、再び家に戻り車のキーを見つけ
エンジンをかけたとたん
元旦那が飛び起きて、裸足のまま玄関から飛び出してきました

私は、車を発進させたのですが
慌てていて、ドアをロックする事が出来ませんでした
すると、鬼の様な形相で
動き出している車のドアを開けて
運転席に乗り込んできて、ハンドルを切ってきました
私の上に乗られたので、身動きも出来ず
このまま捕まってしまうのかとの絶望感で
いっぱいになっていると


友達が、車から飛び出してきて
『嫌がってるじゃないですか 止めて下さい』と言いながら
駆けつけてくれました
『はあ 誰だ お前は 
関係ねえだろ 黙れ』と睨みつけましたが
隙が出来たのを見て、私を助け出してくれました


二人で友達の車に、飛び乗り逃げましたが
元旦那は、私が乗り捨てた車に乗り
物凄いスピードで追いかけてきました
そして、友達の車の前に被せるようにして
何度も邪魔をしてきました

友達も腹が座っている子なので
スイッチが入ったようで
『もう切れた 絶対に降りちゃダメだよ
 いいちゃんと捕まってて』と言うと
ギアをガクガクっと勢いよく切り替えて
負けじと振り切ります


事故にならなかったのが、不思議なくらい
ドラマさながらのカーチェイスでした
そして、ある施設のロータリーに
上手い具合に入り込んで、あと少しで振り切れそうでしたが
元旦那も諦めが悪く、物凄い勢いでバックしてきます
友達は車の窓を開けて
『ちょっといい加減にしなよムカムカ 
事故ったらどうするの
』と怒鳴りつけました

元旦那は、友達の顔も名前も知っていたので
あとで調べればわかると思ったのか
その場は、家に一旦戻って行きました

友達の家に戻りましたが
もうここには、居られません
これから、どうすればいいのか・・・・

この後、思いもよらないほどの
急展開で事が進んで行ったのでした

つづく