『パンッ!!』
乾いた音がした…
女が頬に手をあて俯いている。
『そっちー?!』
男は泣いている女の髪を掴み何度も何度も殴った。
男『お前!俺のこと騙してたのか?!ふざけんなよ!!』
女は泣きながら
『ごめんなさい…ごめんなさい…!!』
と謝り続けている。
私と旦那はその光景を眺めていた。
暫くして
男は私に向かい
『すみませんでした…』
と頭を下げた。
え。何も言えない…←(私の仏の部分)
よく考えたら
この男も被害者なんだよな…
この女が水面下で二股かけてたことも
何も知らずに離婚して…
一緒になろうって本気で考えて
頑張ってたんだろうな…
『俺はヤクザ』だって言う嘘も
この女を守るための男の精一杯だったんだよね。
男は諦めたように
『お前さ…何がしたかったの?
俺だけじゃダメだった?
そんなに他人のもの壊しちゃダメだろ…
俺だって、もしかしたら、〇〇さん側←(私たち夫妻)だったかも知れない…
俺の場合は嫁とこんな関係じゃなかったから…捨てられたけど…』
女は黙って男の話を聞いている
男『他人のものに手出すって…こう言う事だよ。
ちゃんと責任とれよ…
俺はお前と一緒にいるって決めたからさ…
俺も一緒に頑張るから…』
男は、女の手から通知書を受け取り
それを何度も読み返して…
男『この紙に書いてある通り…10日以内に奥さんがここに掲示した金額を支払わせます。』
と言った。
私は、女の書いた謝罪文と誓約書のコピーも男に渡し
私『その三枚の紙に書いてある事さえ守って頂ければ、訴訟も起こしませんし、もう他に望む事は何もありません。』
男の誠意が見えつつあるから
脅迫罪の件は…
まぁいいや。
私の目的は女一人だけだし。
男は座り込んでいる女を起こし
私に謝る様に促した。
女は私に深々と頭を下げ
『慰謝料は何とかして期限内に支払います…本当にすみませんでした。』
と泣いた。
ふと目をやったアパートの自転車置き場に人影が見えた。
女の子供だ…
いつから、そこに居たかは分からないけど…
ずっと見てたんだね…
どんなクズでも
あの子にしてみたら、この世にたった一人の大好きな『ママ』だもんね…
怖かったよね
心配だったよね…
ごめんね。
女の勝手な都合だけで振り回されて
女が男と遊び歩いてる夜は
一人で留守番して…
訳も分からず引越しして…
本当のパパじゃない知らないオッサンと暮らすことになって…
きっと悲しくて…
寂しい思いをしてきたんだろうな…
私の頭の中に三人の子供たちの笑顔が浮かんだ…
私の大切な子供たちの待つ家に
早く帰りたい…
私『では…これで最後にしたいと思います。約束は必ず果たして下さい。』
男と女は頷きながら
『はい…』
『約束は守ります。』
と言った。
立ち尽くす旦那に
『帰ろう…』
と言い
私たちはその場を後にした。