週始めの日曜、いつもは行くことがないショッピングモールへ出かけた時の出来事です。

欲しかった品を無事手にして、少し高揚した気持ちで帰途につこうとしたその時、並木道ですれ違いざまに声をかけられました。
振り向くとそこに、青年に成長した懐かしい彼が立っていました。

15、6年ぶりの再会になるでしょうか。
彼が幼い時には、袖摺りあう程度の縁でしたが、彼の高校時代のある時期、しばらくの期間、同じ空間で時間を共有することが何度かあったのです。

彼はその優しすぎる気性のせいでしょうか。
十代のその頃、様々な複雑な思いを抱えながら過ごしていたように思います。
他の多くの高校生のように、朗らかに話したり、他愛なく笑い転げるような姿を見せることはほとんど無く、その横顔の翳りには色濃いものがありました。

私たちの生活空間の中に、彼がふらりとやってきて、ただそこにいて、ほんの少し言葉を交わし、やがて静かに帰っていく・・・。
ほとんどがその繰り返しでした。
共にいることが彼にとって慰めになっているのか、いないのか。
それさえも測りかねるほどの心許ない頼りない時間の流れ・・・。
それでも彼はあの遠い夏の日々、思い出したようにやってきては、私たちのいる場所で一緒に長い時間を過ごしていたのです。


彼は優しい眼差しを残したまま、青年の面差しになっていました。
儚げだった笑顔は、穏やかで温かな笑顔に変わっていました。
もう30歳を過ぎたと聞き驚くと共に、大人と子どもだったのに大人同士になっちゃったね、と笑い合いました。

きちんとした仕事につき、地に足をつけた生活を送っている様子です。
進路選択といったような、おそらくはいちばん揺れたであろう時期に近くに居れたわけではないので、彼の成長と今の姿について、あれこれと語る資格はありません。

でも、あの頃の触ると崩れそうなくらいの脆さだった彼が、柔らかい陽だまりのような笑顔でそこに佇んでいることが、ただ、ただ、嬉しかった・・・。
ただ、ただ、懐かしかった・・・。


互いの近況報告をして満たされた気持ちで別れたその後、不意に鼻の奥がツーンとしてくるのを感じ、秋の暖かい日射しが眩しいふりをしながら駐車場に向かう通路を駆け出していました。