あの状況の中じゃそれだけが精一杯だった



父が帰宅してから病院へ行く予定だったので

あたしは時間を気にしながら母の痛みが少しでも緩和される様

できるだけの事をした



母は言っていました

『お父さんはまだ・・・?早く病院に行きたい・・・』


そんな母にあたしは

『あと20分で帰ってくるよ!
あたしだけじゃお母さんを支えて移動できないし
車椅子もお父さんの車にあるから


もう少しだけ待とう!?

お父さん今向かってるみたいだから!』





それが母との最後の会話です






父の車の音が聞こえたと同時に
母は力を振り絞り

あたしは母を支えどうにか玄関まで行き


玄関から車までは父と両脇を抱え車に乗せました


"今車に乗ったから病院まで直ぐ着くからね!"


そう言うと母は安心した顔で頷き



父と母とあたしの3人で病院へ向かいました