赤い電車にガタゴト揺られて駅に降りたら
ピーヒョロとトンビの声が聞こえた
でもそのときは 海の近くに来たことには気付かずに
「まるで海の近くみたい」なんて思っていた
江ノ島にはいつもトンビがいる
まだ小さかった息子が
手の中のハンバーグをトンビに取られて泣いたっけ
そんなことが少しだけ頭をかすめていた
休憩時間 目をあげたら 窓の外に広がる景色
「あれは海ですか」
「そうですよ」
そうか 海の近くに来てたんだ
赤い電車にあれだけ揺られたんだもの
「向こうに見えるのは千葉ですよ」
その言葉にも驚いた
千葉は東京の向こうだと思っていたのに
ここからは海を越えるとそこに千葉があるのか
静かに仕事を済ませ
寒い道を駅に急いだ
海辺の小さな駅
ここにもクリスマスが来ていて
駅前の小さなケーキ屋さんのガラスケースには
丸いケーキが並んでいた
