
誰?
美しい金髪の、凍てついた瞳を持つ人だった。
吸い込まれそうになるような不思議な瞳のその人は、
なにか装置を起動させ、頭上が、ぐにゃりと歪み、そこから魔獣が何体も現れた。
夜の帳が降りて、寝静まっているドルム山の山岳兵団に向けて、魔獣は不気味なほど静かに進軍した。
リンゴは駆け出し、魔獣たちの行くてに待ち構え、剣を繰り出した。
つづけさまに剣を振り、魔獣が五体地面に倒れ、消滅した。
「...子供?」
「お兄さん、誰なんですか?」
リンゴは厳しい声をだした。
「こんな時間に、子供が出歩いているなんて..親の教育はどうなってるんだろう。お仕置きが必要かな」
巨大な魔人が歪みから現れる。
魔人が地面に降り立つと、リンゴのほうまで振動で地面が、揺れた。
先程の雑魚とは比べものにならない邪気を纏い、魔人はリンゴに太い拳で殴りかかった。
「リンゴ!!」
大剣がその腕を斬りつける。
リリー・フォードの攻撃で、魔人が態勢を崩した。
「レッド!またあなたなの」
リリーは鋭い目で男をにらんだ。
「久しぶりの再会なのに酷いですね。俺は会えて嬉しいのに。そこの子はリリーさんのお嬢さんでしたか。なるほど、子供なのにそのずば抜けた強さ、流石龍騎士の娘ですね」
「山岳兵団に奇襲なんて、いい度胸ね。そんなことはさせない」
魔人の攻撃が再びくる。
リンゴとリリーは素早く攻撃を避けて、リンゴから攻撃を繰り出した。
リリーが鍛錬しただけあって子供とは思えない攻撃力だった。
リリーも続き、魔人は地面に倒れた。
歪みから新たな敵が現れる。
リリーとリンゴは休む間もなく、攻撃を続けた。
「リリーさん、あんまり無理をしないほうがいい。薬、飲みました?そろそろ限界なのでは?」
リリーの口の端に血が滲んでいた。
リンゴはハッとしてリリーをみた。
リンゴは短剣を取り出して、レッドに向かって投げつけた。
レッドは素早く剣を抜き、短剣は剣にはじき返された。
短剣が地面に突き刺さった。
「なんておっかないお嬢さんだ。魔獣や魔人を相手しながら攻撃してくるなんて」
歪みから新たな魔人が数体現れる。
先程よりも禍々しい。
「狙いはリリー・フォードただ一人!あの女を始末しろ!」
魔人数体が一気にリリーに襲いかかる。
「ママ!」
「おっと、君の相手は俺だよ」
魔人に気を取られていて、目の前に迫るレッドに気がつかなかった。
いつのまにか武器を剣から銃に変えていたレッドは、つめたい銃口をリンゴの額に押し付けていた。
「ゲームオーバーだよ、お嬢さん」
「..!」
魔人に押しつぶされるように攻撃を受けるリリーが驚愕して目を見開く。
間に合わない
一発の銃声が鳴り響いた。
血が飛び散る。
レッドの腕から血が滴り落ちた。レッドは撃たれていない方の手でリンゴの胸ぐらを掴んだ。リンゴの耳元でなにかを囁いた。
リンゴの顔色が一気に変わった。
「その子から、、離れろ!!」
魔銃を構えたティアゴが叫んだ。
「あ、アゴ君..!」
リンゴは真っ青な顔をして、怯えきっていた。
ダンジョンで瀕死に近い状態になってもリンゴはあんな顔はしなかった。
「あーあ邪魔が入っちゃったか。興ざめだな。まあ、龍騎士も限界なようだし、今日は退散しよう」
レッドは余裕の笑みを浮かべて去っていった。
ティアゴは慌ててリンゴに駆け寄り、抱きかかえた。抱き上げたリンゴの身体は震えていた。いつもティアゴに生意気をいうリンゴがティアゴにしがみついた。
ティアゴ「大丈夫?!怪我はない?!」
リンゴ「う、うん..大丈夫..」
リンゴの声は弱々しいものだった。
ティアゴは小さいリンゴをぎゅっと抱きしめた。
(こんな小さな子供にまで!!)
魔人の唸り声が響いた。
ティアゴとリンゴは、リリーと共に魔人を倒した。
強くてかなり手こずった。
戦いが終わるとリリーは膝をついて咳き込んだ。
地面に血が落ちる。
リリーの口からおびただしい鮮血が、吐き出されていた。
「ママ..」
リンゴは真っ青になった。
「リリーさん.,!!Xさんのところに行きましょう!」
「私もいく!」
リンゴとティアゴはリリーを抱えてXの家にテレポートした。
あとがき
記事ストックゼロになりました、、
メモアプリに思いついたお話を書いてこちらに書いているんですが
メモのほうでお話が自分の想像と違うほうに向かっていってます。書いているのは自分なのに、なぜこうなるのか、、?
リンゴは殿下と偶然同い年なので、王室入りを狙っています。リンゴは魔銃師協会の実績狙いだけのてもりが...
リンゴは王室ルートのための繋ぎ、リリーほどお話も思いつかないだろうし、のんびりと平和を謳歌する、そんなキャラのはずでした。
このまま書きすすめていいのか悩む。
209年はエルネア杯です。
エルネア杯、誰が勝ち進むか予想しながら見ていただけると嬉しいです。