任天堂スイッチ版エルネア王国をもとに書いております。
当時人物です↓
真ん中、龍騎士のリリー
左は山岳兵団団長バルナバ
☆
Xは果樹園でなにをしているの?
宴での浮かない顔をしていたX。憎まれ口ばかりたたくあの人が、あんな顔をしているとリリーの調子も狂う。
リリーはほぼ、確信していた。
Xはなにか知っている、と。
果樹園につくと、人影があった。
人影は2人。
Xと......リリーはみたことがない人だった。
2人はなにか言い合いをしていた。
「自分がなにをしたのかわかっているの」
Xは低い声でいい、男を睨みつけていた。
「こんな小さな国、どうだっていいじゃないか」
男は無表情に、Xを一瞥した。
「君は変わったな。優秀だった君がこんな小さな国で、勇者みたいなことをしているとは」
男はひどく冷たい印象を感じた。
「レッド……なんであんな事をしたの?この国に恨みでもあるの?」
「恨みなんてないさ。ただ、実験しただけさ。
どれくらいの軍勢でこの国が滅びるか、この国は耐えぬくか、
あの装置を壊した奴は生きて帰ってこれるか」
レッド、と呼ばれた男は悪びれる様子もなく答えた。
「実験、ですって..」
Xが構える銃を構えた。
「そう怒るなよ。君がいるから大丈夫だと思ったんだ!君があの歪みはなんとかすると思ったさ。それに、話によると装置を壊したのは龍騎士の女だって?あの女も生きてたじゃないか!なにも問題はない!」
「どういうことなの、何を言ってるの」
「あの装置には、濃度を上げた瘴気をいれておいたのさ。普通の人間はひとたまりもない。前の国では、じーさんがひっくり返って死んだな」
「なんですって..」
Xの血の気が引いた。
Xの脳裏に、装置を壊した直後、がくっ膝をつくりりの後ろ姿が浮かんだ。
「プレゼントがありますって瘴気の入った箱を渡したらじーさんはあっという間に死んだよ。でもさすが龍騎士だなー。じーさんのより瘴気の濃度もあげたのに生きてやがる」
男は面白いおもちゃでも見つけたかのように、楽しげに笑っていた。
Xが引き金に指をかけた時、レッドも魔銃を構え、ためらうこともなく引き金をひいた。
平和が再びやってきた王国の夜に
二発の銃声が鳴り響いた。
酒場で山岳兵団の隊長たちと酒を飲んでいたバルナバは別の席で飲んでいたリリーが帰ったことに気づく。
(バーニーたちも帰ったのか..)
リリーはともかく、バーニーはこちらに顔を出すと思ったのに。
隊長たちと飲むといってもバーニーがいなければバルナバ以外女性だ。
やはり男メンバーが居た方がバルナバ的に楽なのだが..
バーニスたちが楽しげに話しているのを横目に、バルナバは導きの蝶を使った。
Xのことがどうにも気になり、バルナバは動向を見守っていた。
Xの居場所は、なぜか果樹園だった。
農場管理でもないXがなんでそんなところにいるんだろう..
リリーの居場所もみてみると、リリーまで果樹園にいる。
ついでにみたバーニーまでもが果樹園にいた。
バルナバ
(なんでみんなでそんな場所に?
何が起きてるんだ..?)
胸騒ぎがしたバルナバは、酒場を後にした。
郊外通りまでやってくると、遠くから二発の銃声が鳴り響いてくるのが聞こえた。
バルナバは全速力で果樹園に向かった。