私の怒りにページを使ってしまった。

私は次に何を聞けばよいか選択出来なかった。

『気持ちの赴くままに話しましょうか?』と興奮する私に静かな口調で話してくれた。



『私は名人と言われた三代目三木助の長女だった。

53歳の時の子供。


母はぽっちゃりしていたから8ヶ月まで父は妊娠している事知らなかったの…

何故なら俺の血を引く者にろくな奴はいない…と一人中絶していたから。


父は53歳だけど母は26歳子供欲しかったのね!


そして私は誕生した。父の言う通りろくな奴じゃあなかった。

生まれたら可愛くていろいろ連れ廻したらしいけれど…父は几帳面で毎日日記を付けていたの。私が生まれてから書き出しは茂子と…から始まる日記だったわ。


当時弟子は何人いたのかなぁ?10人くらいかしら…三つ子の魂百までも…と言われる通り3歳いや6歳まで弟子に囲まれて育ったから全て思いのままに行くと思って育っちゃったのよね。


大人の中で育てるのも良くない!って3歳から幼稚園に入ったけれど、当然周りは弟子じゃないから誰も言うこと聞いてくれない。


苦肉の策で弟子を3人従えての幼稚園通い。今の木久扇さんもいた筈よ…成人した大人がお遊戯したり歌ったりを1年以上続けてた』

それを聞いて私は彼女から漂う従いたくなる自分の気持ちに気付いた。

幼い頃から人を従わせる術を身につけた彼女はずっとそれを漂わせてきているのだ。



『父は私の6歳の誕生日に力尽きたように死んだわ。ランドセルを背負い小学生になるのを楽しみにしていたけれど』

それからは普通に生きてきたけれど、母からはずっと

『お前は不細工だから手に職つけろ』と言われたと言う。



『不細工?』『そうブスだったのよ』本当に不細工だったと言う。


今53歳の彼女を見て『美しい』と言う人はいても『不細工』と言う人はいないだろう。

『不細工だから努力したのよ』と彼女は笑った。