M銀行本部の一番近くに役員店舗はあった。
支店長の下に筆頭副支店長を始め4名の副支店長を配したM銀行屈指の支店だった。

協力体制等まるでない。
新入行員に研修等受けさせる暇があるなら雑用をこなしてほしいのだ。

初日の朝礼で恒例の挨拶。


自民党の遊説で鍛え上げた独特の話し方。



元々遊説等は聞く耳持たぬ人間を振り向かせる演出で効果を上げる。
それを朝礼でやられては銀行員も度肝を抜かれる。

さすがに役員店舗。
新入行員も一筋縄でいくメンバーではない。
総合職という選び抜かれたメンバーは男性行員4名に女性行員2名だった。

最初休憩をはさみ4時間の机上研修。


この机上研修も本部の調査役が同席しても入江山という関西人はいまさらそんな
初歩的な接客~セールス等聞きたくないと言わんばかりの横座りに足を組む。


同期の小菅はおとなしく聞いてはいるがやる気はない。

休憩中本部調査役は『苦戦しそうですね!』と心配顔だ。

机上研修を終わり、いざATMコーナーで本番の実地研修だ。


ATMコーナーに出る直前入江山は彼女に言った『オバハンの力見せてください
よ~事務なんか俺らには軽い作業ですから』傍で小菅は薄笑いを浮かべている。


緊張する女性行員の肩を抱きながら『事務ミスは無い自信あるのね!』江戸っ子と関西人の火花が散る。


『たかが一時間ですよ、ミスする時間もないッスよ』

午後2時

『私がセールストークするからキャッチと事務は任せたわ』

一時間経たぬうちに19件の客がセールスコーナーに群がる。


小菅から

『参りました。事務が追い付かない!トークを止めて事務処理を手伝ってください』


入江山も必死の形相で契約書を差し出しミスがないか確認してくださいという。


牙城の悪餓鬼どもは素直な新入行員に変わっていた。


一日の獲得件数の最高が40件ならそれを自分達が塗り替えたいと…

徳井というパソコン操作の得意な新入行員は毎日の反省と研修した事を日報にするフォーマットを立ち上げた。

今日19件…

残り4日で200件いったら俺達自分達をヒーローと思えるなぁ。



自分達の本来業務を残業して片付けると6名は彼女の傍で満足げだった。