N支店の新入行員指導が順調に進む中、
彼女は本部の派遣先責任者高岡参事役から『お目に掛かり、お話ししたい』と連絡を受ける。
約束の場所はM銀行本部。
この仕事に就き2ヶ月余り、M銀行本部は旧D勧銀の跡にあった。
高岡以外に3名のこの仕事に携わる本部行員もいたという応接室。
ここで後にカリスマと位置付けられる彼女が誕生するのだった。
高岡は彼女を『本部直属の派遣になってほしい』と要請した。
同時に時給も上がり、派遣会社も変わる。
という条件を呈示した。
派遣法違反の第一歩が密室で行われる。
派遣法では時給は派遣会社が上げるのであって直接雇用ではない派遣先が関与してはならない。
また派遣元指針第二に於いて
『派遣労働者の特定を目的とする行為に対する協力等』禁止されている。
つまり、彼女の派遣会社を勝手に変えては違法行為にあたるのだった。
派遣会社を選ぶのは労働者の意思であり、使う側が派遣会社を特定してはならないのだ。
派遣法を勉強して派遣社員になる人等いないだろう。
派遣法を知らない彼女は、まさか天下に誇るM銀行が派遣法違反をしている等思いもよらず…
M銀行本部の密室での話し合いに受諾した。
それはM銀行の組織の中で様々に交錯した銀行員達が、
新人行員指導育成者として銀行が一気に迎えいれた新卒者の対応を、本部の名の元に行うに相応しい逸材の発掘だった。
無給で彼女に新入行員指導育成させた事に口を拭っての発露だった。
彼女の移籍された派遣会社はM銀行が株主として君臨するアウ゛ァンティ社だった。
敢えて派遣会社の名前を実名にしたのは、既に労働審判で彼女はアウ゛ァンティ社と闘っている。
このカリスマへの階段とともにアウ゛ァンティ社は見事なまでに派遣法をかい潜り、派遣労働者を派遣先の人柱として彼女を喰いものにしたのだ。
派遣会社としてトップクラスの㈱アウ゛ァンティスタッフ社は
雇用条件通知書等で彼女を欺いていく様を全国35%の派遣労働者は我が身を振り返り見てほしい。
カリスマへの階段には派遣法違反という裏階段もついていた。