彼女との会話の中で、40歳を越える私はのめり込むほどの日常に転がる美しさへのステップを見せ付けられる。
彼女の日常にちょっとしたエッセンスを垂らすだけで階段を駆け上がる女性の後ろ姿が見える。
そのエッセンスは特別なものではない。
見渡せばすぐに手の届くものなのだ。
それを見過ごす無知な私。
それは私だけなのだろうか…
彼女は自分を見つめる事から始まるという。
己を知れば足りないスパイス、必要なエッセンスが見える筈よ…
必要な隠し味だったりと料理と同じ。
面取りだったり、ちょっとした切り込みで味が染みるように己が潤うのに何故しないの?
彼女の生き方や生き様は知識を持つ強味なのか…
生きる術をふんだんに使い毎日を過ごすことこそ美への階段なのだ。
風呂に日本酒を入れる…
それは宴席で飲み残された日本酒を芸者衆がやっていた当たり前の事。
日本酒は毛穴を開き老廃物を吐き出すことに繋がり肌を潤わせる。
塩で身体を洗う…
発汗作用でより老廃物を流し肌はツルリと磨かれる。
発汗作用は新陳代謝を上げ消費カロリーをアップさせる。
『私一挙両得が好きなのよ』
彼女に限らず誰だって好きな筈なのだ。
私も好きだ…ただ気付かないし、知らなかっただけなのだ。
知識の宝庫は女を磨くためのステップなのだ。
そしてそれは仕事~人生全てに通じるから私を躍らせるのだ。
彼女の所作も美しい。
知識の宝庫から魅せる演出がほどこされた動き…
男だけでなく女さえ魅了する彼女の人生はこれが原点なのだ!
と私は甘い興奮感を味わった。
これから綴る彼女の人生の軌跡にこの原点を見てほしい。
彼女の父三代目桂 三木助さんが追い求めた美学は
年端も往かず父と死に別れた彼女の中に脈々と受け継がれているのを私はみた。
彼女のまとう羽衣も彼女が持つパンドラの箱も
美学を極めたいと願う血筋が編み出す潤いなのかもしれない。