照りつけるお日様に 海風は暖かく
はしゃぐ子どもや学生たち
大人だって澄ました顔は してられない
青空にたなびく層雲に目もくれず
手に手に 砂を掻いては 歓声を上げ
かごいっぱいに 貝集め
「大きい貝!」
「みてみて、キラキラしてる!」
走って行く子どもたちの 足もとで
踏んだことさえ 気付かれない
小さな貝が ひとつ
灰色に薄茶色 不格好で 小さくて
熊手の爪にも 引っかからない
だあれも 気付かない 小さな貝
潮が満ちて 歓声は去り
弱まったお日様に 熱を失った海風
身を覆う砂を潮に洗われ
露わになった 不格好な自分の姿
小さな身を 精一杯 小さくして
『誰の目にも止まりませんように』
ぎゅっと 閉ざす その貝に
「ねぇ、ちょっとだけ 口を開けてみて」
聞こえた声の 優しさに
声を紡いだ その口を その頬を
その目を見てみたくなった
「大丈夫」
笑みを含んだ その声に
弛んだ すきまから
見えたその目は
夕日を写して きらめいた
「ほら、やっぱり。
あなたとってもきれいな」
きれい と言われて
うろたえて
もうちょっと弛んだ 貝を覗いて
「小さな真珠。持ってるのよ」
対人援助職って、こんな仕事だなぁと感じる今日この頃です。
昨日1日は色々話を聞いていただいて色々用事をこなしてバタバタでした。接してくださる方たちの誠実さに、いくら感謝してもしきれない気持ちです。