パン祭りならぬパン地獄…医師が警鐘「パンを食べると脳の神経伝達物質を阻害、記憶曖昧・情緒不安定化」
溝口 徹 によるストーリー
小麦と牛乳で腸はボロボロに
「毎日、朝はパンを食べる」「健康のために牛乳を飲むようにしている」という人は多くいます。
小麦や牛乳は、多くの人が長年の習慣で毎日とっています。
体になんらかの不調を感じている場合は、
毎日とっている小麦と牛乳には注意してほしいのです。
いつものパンやパスタ、うどんに含まれるたんぱく質が、
心と体の不調を引き起こす原因となっている可能性があります。
悪さをしていると考えられるのは、おもに「グルテン」です。
小麦粉には、「グルテニン」「グリアジン」と呼ばれる2種類のたんぱく質が含まれています。
小麦粉に水を加えてこねると、2つが絡み合って「グルテン」に変化するのです。
パンのふわふわ感やうどんのもっちり感は、このグルテンが生み出していますが、
一方で老化、肥満、疲れ、便秘や下痢などの
体の不調に加え、
イライラ、うつ、集中力低下などの
メンタルの問題にも関係していることがわかってきました。
グルテンによる典型的な症状があるわけではなく、
どんな問題が起こるかはその人の体によって違ってきます。
そのため、自分ではグルテンが原因だと気づきにくいのです。
腸が荒れていると老化が進む
グルテンと同じような性質を持っているのが、
牛乳やチーズなどの乳製品に含まれる
たんぱく質「カゼイン」です。
牛乳に含まれるたんぱく質のうち、
カゼインが8割、残りの約2割がホエイです。
グルテンとカゼインには共通点があります。
私たちの持っている消化酵素では分解しきれない
構造になっているのです。
たんぱく質は通常、消化酵素によって分解され、
アミノ酸となって小腸から吸収されます。
ところがグルテンやカゼインは、消化されないまま小腸の中に長時間とどまってしまいます。
その結果、腸の粘膜が炎症を起こします。
腸の粘膜が荒れると、目の粗いザルのような状態になります。
健康な腸の粘膜は体に必要な栄養分だけを吸収しますが、
目の粗いザルになってしまった粘膜は十分に分解されていない
大きな分子も通してしまうことになるのです。
その結果、便秘や頭痛、うつなどの全身症状をもたらします。
腸が荒れているときは、食品アレルギーも起こりやすくなります。
小腸から吸収された大きな分子の中に食材の特性が残り、
それが抗原となってアレルギーを起こす可能性が高まるのです。
グルテンやカゼインがもたらす不都合な影響はほかにもありますが、
まずは「未消化のたんぱく質が腸の中にあるのはよくない」
と覚えてください。
老化と腸の衰えは深く関係しています。
腸で炎症が起こると、老化の原因である活性酸素を
体内に送り込み続けることになるのです。
老化を防止するには、腸をいかに刺激せずにいい状態で保つかが大事です。
そのためには、小麦や乳製品を控えることが重要なのです。
グルテンがメンタルにも悪いワケ
小麦や乳製品には、依存性があるのも問題です。
グルテンフリーやカゼインフリーを実行しようとしても、
「パンやパスタ、牛乳やヨーグルトがどうしてもやめられない」
という人がいます。これは本人の意思が弱いのではなく、
グルテンやカゼインのアミノ酸配列に問題があるのです。
たんぱく質は20種類のアミノ酸がつながってできています。
グルテンとカゼインの代謝産物のアミノ酸の配列を見ると、
モルヒネに似た部分があります。
モルヒネはアヘンに含まれる最も作用の強い物質で、
麻薬性鎮痛薬です。
グルテンやカゼインを摂取すると、
その代謝産物は脳の関所といわれる血液脳関門を通過してしまい、
脳内にあるモルヒネなどが結合するレセプター(受容体)と
くっついて、中毒症状を引き起こします。
「もっと食べたい」「毎日食べたい」という状態になるわけです。
加えて、グルテンやカゼインの代謝物は正常な神経伝達物質を阻害します。
心の安定に欠かせないセロトニンやGABAが出にくくなったり、
神経を興奮させるノルアドレナリンを過剰に分泌させたりします。
すると、記憶があいまいになる、情緒が不安定になる、
うつになる、興奮しやすくなるなどの症状が出ます。
グルテンやカゼインが不調の原因になっていないか確認するためには、
一度完全に抜いてみるのが有効です。
グルテンやカゼインが含まれている食品を一切とらないようにするのです。
効果を確かめるために、2週間は続けてください。
約2週間で腸の粘膜が入れ替わるからです。
グルテンとカゼインが腸にもたらす影響は非常に似ていますから、
抜くときには同時に試すのが効果的です。
2週間やめてみて、体の調子が良ければ、
小麦や牛乳へのアレルギー反応が起きていた可能性もあります。
多くの人が、グルテンフリーとカゼインフリーによって
お肌の調子が良くなる、集中力が上がるといった
うれしい変化を実感しています。
最初の2週間は徹底して抜く必要がありますが、
その後に長く続ける場合には、
完全なグルテンフリー、カゼインフリー生活が難しいこともあるでしょう。
その場合は、摂取を控えめにするだけでも体の調子が良くなる人は多くいます。