「ユヅル?」
母が俺の病室のドアを開けて顔だけ覗かせた。
「お客様よ。お見舞いに来て下さったんだって」
「・・・誰が来てくれたの?」
母がにこにこと笑っている。
母の背後にはタツキ君が立っていた。
「タツキ君」
「ユヅル。あけましておめでとう」
「おめでとう」
・・・オメデトウ、と言ってユヅルは自然に笑みがこぼれた。
タツキはユヅルの笑顔を見てつられて笑った。
「・・・なんだよ、俺なんかおかしかった?」
「あ、ゴメン。一瞬おめでとう、って言葉がタツキ君にお祝い言ってるみたいだったから」
さらにユヅルがフフフ、と笑った。
そんな姿を見てタツキもまた笑った。
俺はコイツにかなわなかったんだな・・・
笑いながらふっとそんな思いがよぎった。
「うん、、、まだ痛い」
「そう。いい機会だからゆっくり身体休めて治せばいいじゃん」
「ありがとう。タツキ君・・・あ、、、練習は?」
「いいんだよ。もう試合には出ないから」
「やっぱり本当なんだね」
「なんだよ、知ってるのか」
タツキが現役引退を表明したこと。世界選手権出場を辞退したこと。
麻酔から目が覚めた時に姉貴から聞いた。
「うん・・・」
「ユヅル、今までありがとな」
「上海でまた一緒に戦えると思ってたのに」
あれ、、、ユヅル。マジヘコんでんの?
ユヅルの目が潤んできた。
「い、痛え」
ユヅルが前のめりに倒れかかってきた。
「うわ、何やってんだよ」
「ハグしようとしたら・・・動いたら・・・いてぇ」
「ユヅル、、、バカじゃね?」
タツキはそぉっとユヅルの肩を抱いてあげた。
よくこんな状態で俺たちに勝ちやがったな。ちくしょう。
「ぶっ潰されるの、楽しみに待ってたのにさ」
「ぶっ潰せなかったじゃないか」
「タツキ君にならぶっ潰されてもいいって思った、あっでも俺は勝つけど、って」
2人はお互いを見合ってまた笑い合った。
「寂しいけど、タツキ君のこと応援してるよ。アイスショーで会おうね」
ユヅルが泣き笑いみたいな笑顔になって真っ直ぐにタツキを見つめた。
「で、、、タツキ君これから何すんの?」
ユヅルのお見舞いの為に病院に着いた時は
彼はまだ年下の才能溢れるライバルだった。
彼の姿を見たらいつの間にか可愛い後輩になっていた。
ユヅルと肩を抱き合った後は心から彼を応援したい、と思っていた。
きっと俺が女だったら、ユヅルに惚れるのはこの瞬間なんだろう、とも思った。
すべてが自然な流れだった。

タツキはユヅルの母にある事を託した。
「ユヅル、成人式ですよね。なんとか彼を成人式に出させてあげて下さい。僕は成人式に出席して同級生や先生に会えた事がとてもその後の糧になりました。今のユヅルには一番必要な大切な事のように思います。お母さん、無理を承知でどうかお願いします」
「マチダ君、ありがとう。頑張ってみるわ」
ユヅルは仙台の成人式も成人の日も数日過ぎたある日、退院した。
「残念だったわね。」
「何が?」
「成人式、出られなくて」
「あぁ、でも仕方ないよ。身体が一番大事なんでしょ」
「そうよ・・・あ、そういえばこれ」
母が持っていたのは白い封筒だった。
「友達のヤマダ君が昨日持ってきてくれたの」
「・・・?」
ユヅルは母からその白い封筒を受け取った。
中には招待状が入っていた。
結婚すんのか。誰と誰が?
違った。
招待状
来る2015年1月17日に3年G組だけの成人式&同窓会を開催します。
ここでは羽生結弦への出欠を問う。ユヅル以外は全員参加決定してる。モリタ先生も参加するからな。
俺たちに逢いたければ来い。熱く歓迎してやるからな。覚悟しておけ。
こ、これって俺出席前提にした招待状じゃないか。
20歳になったってゆうのにやる事が子供だな。
「何の招待状?」
「一週間遅れの成人式」
久しぶりにみんなに会える。
嬉しさがこみあげて来た。
「ねえユヅル」
「うん」
「マチダ君はユヅルの事が好きなのね」
ユヅルはタツキの事を思い浮かべていた。
「タツキ君。ありがとう。お疲れ様」
ユヅルは誰に話しかけるわけでもなく、声に出していた。
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仙台市は11日が成人式だったみたいですねwww
ヤバ・・・完全なるノーマークだったΣ(~∀~||;)
こんな風にでも同級生や先生に逢えてるといいのになぁ。
20歳になった貴方へ。
貴方はどんな道でも切り開ける。
貴方しか目にすることの出来ない壁を超えたら次に見えるのは壁。
さらに次に見えるのも壁。
それでも嬉々として貴方は超えるのでしょう。
私達はいつまでも応援するよ。
その壁の先に輝く栄光が見えるまで。
新成人おめでとう。
追記☆1枚目のお写真、ゆづまっちーが太陽と月、みたいですごく好き。お互いなくてはならない存在でどちらが欠けても宇宙として成り立たない。太陽と月がまっちーとゆづに入れ替わることもあったかもしれない、と思うとまっちーの存在の大きさを今更ながら感じてしまいます。
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なんか青いな・・・ちょっと恥ずかしくなってきましたwww
お付き合い頂きありがとうございました