服作りは、ほとんど二枚のパーツを縫い合わせて、作っていくわけですが、短い距離は待ち針を使わないこともありますが、私は、待ち針を打ってミシンをかけていきます。

 

昔は、しつけ糸で縫ってからミシンをかけるのが普通でした。私も小中学校では、そのように教わりました。本格的に洋裁を習うようになり、初めて待ち針で留めて縫うことを知りました。

しかも、学校の洋裁道具に入っている待ち針とは種類が違いますね。

 

シルクピンを使っていますが、頭があるタイプを使っています。これは、部屋で落とした場合に見つけやすいためです。待ち針は、気を付けていても、スルッといつの間にか落ちてしまうことがあり、小さいお子さんやペットがいる場合には、とても危険になります。

 

しつけ糸を使う場合ですが、一本取りで、出来上がり線から1mm程度外側を縫うと良いと思います。縫い目と同じ位置だと、しつけ糸を外すときに、生地を傷めることにもなりますし、手間がかかります。

 

 

さて、待ち針の留め方ですが、端から留めていけばいいのでは、と思われると思いますが、パーツが同じ形のものを合わせる時には、ピッタリと重ねて留めていけばよいので、問題がないのですが、違うカーブのパーツを重ねる時には、端から留めたら、最後に長さが合わないというトラブルも出てきます。

 

 

 

下写真は、スカートの表地見返しと裏地を縫い合わせるところです。

 

見返しの真ん中と裏地の真ん中を最初に留めます。

 

 

次に、両端を留めます。この三ヶ所が基本になります。この時点で、全く長さが合わないようだと、裁断ミスということになります。

 

 

次は、カーブのない平らな場所に打ちます。端は少しカーブがきつくなっているパターンなので、下写真の位置に打ちました。

 

 

 

最後に残った場所に打つのですが、上写真の左側の打っていない場所の距離は10㎝程度ありますので、その10cmの真ん中を打ってから、その両端を留めると、均等に留めることができます。

下写真が、全体に打ち終わったところになります。

 

 

なぜ、こんなに丁寧に打つかというと、この後、そのままミシンをかけていきますので、待ち針を留めた時点で、二枚のパーツがピッタリと重なっていないと、縫っているうちにどんどんズレてしまいます。

 

手縫いがなぜ失敗が少ないかというと、縫いながら手で調整しているわけです。手感覚でできるので、分かりやすいんです。

ミシンの場合は、下側は送り歯がついているので、どんどん送ってくれますが、上側は押さえで押さえているわけですから、ミシンの構造上、上下のギャップが初めからあるわけです。

なので、最初から二枚がうまく重なっていないと、距離が長くなるほど、最終的に上側の生地が余ってしまうトラブルが発生します。

 

また、よくあるトラブルで、ちゃんと待ち針を打ったのに、縫っているうちに余ってきてしまうということがあります。これは、袖ぐりなどカーブがキツイパーツを縫うときに起こりがちです。

その場合、待ち針を早く外しすぎていることが原因のことがあります。

 

たかが待ち針、されど待ち針なのですが、奥が深いんです。

上の写真の待ち針同士の距離を見て頂きたいのですが、別に測って打っているわけではなく、経験上、ベストな距離になっているんです。

 

それぞれの待ち針と待ち針の間で完結できるように縫っていきます。

次の待ち針のギリギリ手前で、一旦ミシンを止めて、待ち針を抜きます。そして、また次の待ち針のギリギリ手前まで縫い進めます。それを繰り返していきます。その時は、針は生地に刺したままになっていないとズレてしまうので、針を下したままにします。

 

待ち針は、細かく打てば打つほどきれいに縫えるか、というとそうでもなくて、ほどほどの距離で一気に縫った方がきれいなんです。

 

洋裁にありがちな、正解はないという結論になってしまいますが、ご自身が一番楽にきれいに縫うためには、どうしたら良いのかを考えていくことが、洋裁上達のカギになるかもしれません。

 

 

ご参考にしてください。