下写真は、袖口のスラッシュあきです。
最近は、衿ぐりの後ろにあるパターンも多いですね。
私が洋裁を始めた頃は、スラッシュあきの服はほとんどなくて、教室を始めてから、あまりの多さにビックリしました。被りの服が増えたからですね。
見返しに接着芯をはり、ロックミシンをかけて、中表に合わせてあります。
ピンクの印は、ミシンで縫うラインです。
ごくごく普通に縫っていきますが、ハサミが指している先端部分は、ミシン目を細かくしています。
これは、丸く縫いやすくするためと、切り込みを入れるのでほつれ防止にそうしています。
下図の左側は、縫い始めと同じミシン目で縫った場合を簡単に表したものです。
右側は、丸みに入る辺りから、細かいミシン目に変えた場合を表しています。
ちょっと大げさに描いていますが、ミシン目が長いとカーブがカクカクするのは当然なのが分かると思います。
ミシンで縫ったあと、下図のように切り込みを入れます。このパターンは、開きが広いので、先を下図のように切ります。
要は、表に返した時に、突っ張らずに、きれいに返せれば良いわけです。
下写真が、表に返したものです。
この生地は、柔らかい生地なので、深く切り込みを入れなくてもアイロンで馴染ませることができます。
私は、まず控えめに切り込みを入れて、返してみてから、さらに深く入れたりもします。
切ってしまうと、戻せないので。
スラッシュあきの幅は、デザインで変わってくるので、毎回同じ幅とは限りません。
下図の左側のように、先を尖らせたパターンも見かけたことがありますが、先が細くなると、切り込みを深く入れるとほつれる可能性があります。
右側のように幅が広くなると、先も縫いやすいし、切り込みも入れやすくなります。
じゃあ、広くすれば良いかと言うと、例えばワンピースの衿ぐりのスラッシュあきだとすると、幅が広くなると地肌が見えることになります。
また、ボタンが外れやすくなることもあります。
スラッシュあきがあるパターンの場合、ご自身できれいに縫えるかな、と考えてから始めると良いです。
ちょっと細くて自信がないなぁと思われたら、先を縫いやすい形に直してしまいます。
今回は、袖口のスラッシュあきなので、特に問題はないのですが、後ろ衿ぐりのスラッシュあきは、実は体型的に合う方と合わない方がいらっしゃいます。
私のような薄い体でイカリ肩の体型だと、ほぼ間違いなくボタンが外れます。首の後ろの付け根辺りに肉がなく、むしろ肩甲骨の隙間で凹んでいるので、このスラッシュあきの辺りが浮いてしまい、ボタンが外れます。
試着する時、みなさん、真っ直ぐにきれいな姿勢で確認すると思います。そこが盲点で、ずっと直立不動の方はいませんね。腕を上げたり、屈んだり、バッグを肩にかけたり、思っている以上にいろんな動きをするのが普通です。
日常着を作るということは、動きやすいこと、動いても着崩れないことが大切になります。
せっかくスラッシュあきもきれいに縫えた!とお出かけして、実は後ろのボタンが外れていたのでは、ご自身も気になるし、周りの人も言ってあげたらいいかな、とか気遣いしてしまいますしね。
また、パターンが良くないと安直に考えるのもどうかなと思っていて、サイズだけではなく、ただ単にご自身の体型にマッチしづらいパターンだったというだけかもしれません。
洋裁の面白いところは、パターンが良ければいいわけでも、縫製が良ければいいわけでも、生地が良ければいいわけでもないところです。
正解がない所が、私が洋裁を気に入っている理由です。全く飽きません(^^)
ご参考にして下さい。