今回は、縫製上級者編です。
前身頃と後ろ身頃を縫い合わせる場合、ちょっとした気遣いをすると、着やすくなったり、出来上がりがきれいになります。数ミリの話です。
下写真は、前後肩を縫い合わせたものです。
衿ぐり側は、布端まで縫わずに、出来上がり線より2~3mm外側までしか縫っていません。
この後、衿がつくので、ツレないようにそうしています。
ロックミシンをかけるので、どっちでも変わらなそうですが、この数ミリで違ってきます。
袖付け側は、出来上がり線の角から5mm程度外側まで縫います。
この後、袖付けをするわけですが、袖付けをした後にロックミシンで、2mm位切り落とすので端まで縫いません。
脇縫いは、袖ぐり側は、出来上がり線の2mm程度外側まで縫います。
これは袖が付くためで、脇の下がツレないように端まで縫いません。
裾は、三つ折り始末なので、端まで縫います。
袖に関しても、袖ぐり側は端まで縫わずに、出来上がり線より2mm程度で縫い止めます。
アップだとこんな感じです。
縫い代は1cmです。
袖口側は、端まで縫います。
これは、次にギャザーを寄せてカフスをつけるからです。
以上になりますが、これをやらなくても問題なく服は作れます。
また、生地の種類、パターンを考慮して、今回はこのように縫いました。
衿つきなら2mm先まで、袖つきなら5mm先まで、と単純に覚えるものではなく、端まで縫うのを基準として、この生地だとツレるから手前で止めておこうとか、このパターンだとツレが出るかなとか、バイアス始末だから端まで縫おうとか、毎回考えて縫製を変えていきます。
つまり、ただ2枚を縫い合わせればいいんだよね、ではなく、「何故、こういう風に縫ったのですか?」と聞かれた場合、「これこれこういう理由で、このように縫いました」と答えることが出来るということです。
昔の話ですが、私が、初心者レベルから独学ではじめ、何年か続けた後、壁にぶつかりました。何か出来上がりに満足しない。相当数を縫っていましたが、何か出来上がりに納得できませんでした。
いろんな本(昔はネットがなかったので)を読みあさっても、知りたいことが分からずにいました。そこで、初めて洋裁教室に通いました。
ベテランの先生に巡り合え、私の知りたかったことが、どんどん解決していき、完成度が上がるのを実感しました。
こんな数ミリのことでも、出来上がりが変わってくるのが、縫製の面白さです。
私の教室では、製図より縫製に重点を置いていたのですが、縫い方ひとつで、着心地が変わることを体感して欲しかったからでもあります。
ある程度、縫えるようになったら、細かいところまで気を配って縫製してみると、さらに洋裁が楽しくなると思います。
ご参考にしてください。