洋裁の作業の中で、初心者さんがハードルが高いなぁと思われるのがボタンホールです。
シャツの目立つ場所で、尚且つ、形が出来上がった後の最後の工程なので、「失敗したくない」というプレッシャーが、さらに苦手意識を増幅させます。
実際、教室でも、リッパーで穴を開けるときに、本体まで裂いてしまう事件も数件ありました。ストッパーにしていた待ち針を通過してしまうというアクシデントです。
今回は、リッパーを使わず、のみを使う方法をご説明します。
また、ピケという洋裁用のほつれ止め液も使います。
下は、シャツの前開きにボタンホールを作り、ピケを塗った後の写真です。
ピケは透明なので、乾くと少しだけ硬くなるだけなので、見た目では分かりません。
繊細な生地の場合は、シミになることもありますので、必ず試し塗りをします。
ボタンホールの真ん中のミシン糸がかかっていない隙間を狙って、真っすぐに、ザクっというくらいに押し付けます。テーブルの上でやると、テーブルに傷がつきますので、ボードがない場合には、新聞紙や厚紙を何枚か敷いてやってください。
これ、老眼だと、隙間がよく見えなくてミシン糸を切ってしますこともありますので、隙間が見えづらい場合は、リッパーを使う方が良いと思います。
また、のみの幅よりボタンホールの幅が大きい場合には、ズレないように2回に分けて切ります。
ボタンホールは、なかなか悩ましい問題で、家庭用ミシンにしろ職業用ミシンにしろ、細かいジグザグで枠を縫って、後で穴をあける方法は同じになります。
既製服は、ボタンホール用の専用ミシンで作られているので、穴の部分がほつれることもありません。
コンピュータミシンのボタンホールは、細かくてきれいなのですが、失敗すると生地を傷めてしまうので、きれいに解けません。また、ボタンホール用のアタッチメントが幅が広く、段差に弱いことが難点かなと思っています。
職業用ミシンで使う専用のボタンホールアタッチメントは、同じく幅はあるのですが、直線ミシンということで、針が落ちる溝が小さいので、段差にも少しは対応しやすいのかなと思います。
ホームソーイングで使うミシンにおいては、どれも一長一短だと思っていますので、ボタンホールが必要な服を作る場合には、最初から対応できるのかなと確認するようにしています。
最初の写真のシャツの台衿のボタンホールの部分は、幅が狭くて、アタッチメントが引っ掛かりやすいので、最初から、ホックにして飾りボタンにするとか、開けて着る場合には、ボタンホールを開けないという選択もありだと思います。
その場合、台衿に違う生地を使ってみたりすると、ボタンホールがなくても目立たないし、無地だとボタンホールが曲がると目立つから柄物にするとか、できないことに固執しないと、どんどんプラスのアイデアが沸いてくると思います。
何百着も作った私でも、ボタンホールは緊張します。子供服を作っていた初心者の頃、散々失敗した経験があるからです。でも、作れば作るほど慣れてくるもので、やはり回数なんだなぁと思います。
既製服と同様のボタンホールは、業者に出すと、そんなに高価ではなくやってくれるところがあります。ウールのジャケットやコートは、何度か出したことがありますが、やはり全体のクオリティが上がります。お近くにある場合は、頼んでしまうのも良いと思います。
洋裁において、方法は際限なくあるので、ご自身で考えて選択していくと、気楽に楽しめるようになると思います。
ご参考にしてください。