久々に帰国していた日本から、

アメリカ行きの飛行機に乗り込む。

 

自分の座席ナンバーを見つけ、

快適な座席に腰かけると、

 

ふと12年前の記憶が蘇った。

 

 

当時大学生だった私は、

LAの空港で、日本に戻る飛行機を待っていた。

 

半年間のLA留学を終えて、日本に戻るためだ。

 

一つの挑戦を終えた自分を

誇らしく感じつつも、

 

まだまだ自分が何者なのかわからず、

押し寄せる不安と、

入り混じるかすかな期待。

 

そんな複雑な気持ちで機内に乗り込むと、

 

あの「カーテン」が目に入る。

 

私は、「カーテン」を尻目に、

自分の座席を探す。

 

あの「カーテンの向こう側」は、

私には関係のない世界なんだ。

 

そう、ビジネスクラスだ。

 

いつも、「いいなぁ...」

そう思って通り過ぎるだけだった。

けれど、この時は違った。

 

無性に強い思いが込み上げた。

 

「いつか、

 あのカーテンの向こう側に行きたい。」

 

少し窮屈な座席に腰を下ろすと、

すぐにノートを開いた。

 

「いつか、

 あのカーテンの向こう側に行きたい。」

 

「あのカーテンの向こう側に座れる

 自分になりたい。」

 

そう書き込んだのを今でも覚えている。

 

 

そうなれるかなんて、わからない。

どうやったらそうなれるのかも、わからない。

 

けれど、

ただただ強く、純粋に思った。

混じりっけなしに。

 

「いつか、

 あのカーテンの向こう側に行きたい。」

 

 

12年後の今、私は快適な座席に座っている。

カーテンの向こう側に、座っている。

 

感慨深いと同時に、

不思議な気持ちになる。

 

12年前に、

 

「いつか、

 あのカーテンの向こう側に行きたい。」

 

そう強く願ったっきり、

そんな思いは忘れていた。

 

思わぬタイミングで、

12年前に強く望んだことが、

現実に姿を現したのだ。

 

 

そんなことを考えていると、

ふいにあの時の自分が愛おしくなる。

 

12年前、

 

「いつか、

 あのカーテンの向こう側に行きたい。」

 

込み上げる純粋な思いを、

真正面から受け止めて、

バカにせずに、

強く願った自分。

 

夢見る自分を許した自分に伝えたい。

 

「ありがとう。」

 

 

あの時の自分が、

バカ正直に願わなかったら、

 

込み上げる思いを認めずに、

「そんなの無理だろ」と却下していたら、

 

きっと叶わなかった一つの夢。

 

 

だんだんと、

あの時の純粋な自分を思い出す。

 

 

大人になるほどに、

この世界をよく知った気になって、

いろんなことを諦めてしまう。

 

想像のツバサを自由に広げることを、

夢見ることを、

制限してしまう。

 

遊び心を、

置き去りにしてしまう。

 

 

あの時の自分に言われている気がした。

 

「純粋に望むことを忘れないで。」

 

夢見ることを許そう。

 

方法なんてわからなくていい。

 

自分が夢見るものを、

否定せずに認めてあげよう。

 

そうすれば、

その願いはいつの日かきっと。

 

現実となって、

あなたの世界に姿をあらわすから。

 

それでは♪

Have a good one ;)