社長へ
この手紙は10年後に届くシステムらしいです。今は令和2年なので、令和12年に社長の元へ届くと思います。
10年後の社長は今と変わらずお元気ですか?私はまだ働いていますか?
今年はコロナというウイルスのせいで世界中の人が大勢亡くなりました。志村けんさんもコロナで亡くなりました。もう半年以上経つのに、いまだ思い出すと胸がギュッとなります。安倍首相が持病悪化で退任し、菅さんが新しく内閣総理大臣になりました。
10年後、コロナはどんな存在になっているんでしょうか。
今日、初めてひとりでYさんのケアに入りました。同行の時、Yさんはとても細かい指摘をされる方だと聞きました。1分遅刻は当然ダメなのは分かりますが、1分早く入ってもダメと聞き、自分の時計とYさんの見ている時計の誤差が気になり、どのタイミングでインターホンを鳴らすのが正解なのか悩みました。毎回イチカバチカですね。マスクを車の外に出てからつけるのも苦情が入ると聞きました。波長が合わない人もNGと聞きました。他にも色々聞きましたが、どれも細かすぎて自信がないです。Yさんはことごとく他のヘルパーさんを理由をつけて断ってると聞きました。そして残ったのがあと私ひとり、私のことを断ってきた時点で、もう会社の方からYさんを切ると聞きました。すべて私にかかっています。そんなプレッシャーを背負いながら今日、Yさん宅のインターホンを鳴らしました。想像するより人の良さそうな穏やかそうな、話し方も柔らかく優しい方でした。
今日はシチューとハンバーグを作ってほしいとテーブルの上にメモがありました。作る量が多いとは聞いていたけど、シチューに玉ねぎ3こ、人参2本、じゃがいも10こ、鶏肉大量、ハンバーグも焼くのを3回にわけて合計9こ焼きました。給食かと思いました。私は給食のおばさんかと思いました。
キッチンは使い勝手が良く、気に入りました。途中で蚊やハエが飛んできて私になついてきました。迷惑でした。濡れた手でパンパン叩いて追い払うと苦情がくるといけないのでまだ刺されてもいない段階からなんとなく痒みが襲ってきたけど我慢して料理を作るのに専念しました。なんとか給食並みの料理を作り終え、伝票を書き、帰るときYさんに挨拶しました。もし、何か気づいたことがありましたら、直接でもいいですし、会社の方でもいいので連絡下さい。今後とも宜しくお願いしますと。Yさんも笑顔でこちらこそこれからもよろしくお願いしますと言って下さいました。
出来る限りベストを尽くしました。
そして全部の仕事が終わり夕方家に着きました。トイレが近くならないように日中我慢したコーヒーをようやく夕方ひと口飲んだところで緊張が解けホッとしました。
そして夜、お風呂でシャンプーをしているときにふと気づいたのです。ハンバーグに玉ねぎを入れ忘れたことを。やけに弾力のいいハンバーグだなと箸でつつく自分の姿を思い出しました。
私はその後、YさんからNGは出ましたか?
反省しています。


