桜さんのもっともっと前の話。
桜は僕にとっては初めて自分で飼う子だったが、中尾家で言えば3頭目。そのどちらの子も写真があったようななかったような…であちこち探してふっるいアルバムから数枚を見つけた。それを写真屋さんでデータに起こしてもらっていて、いつか何かの形でアップしようと思ってかなり経ってしまっていた。
で、最初の子の話。実は幼少のとーちゃんは犬がキライだった。よその家に行っては吠えられてちゃぶ台の上やテーブルに逃げて飛び乗るほどキライだった。なのにある日突然オヤジが子犬を連れて帰ってきた。
まぁキライと思っていたけど、興味はたぶんあったんだと思う。どう接したらいいか分からなかっただけで。
名前は俺に決めさせてくれた。剣道をしてたこともあったしなんかのアニメの主人公の名前が気に入っていて訳も分からず「ケン」と名前をつけた。どうしてもそれがよかったけど、あとでケンは女の子だったと知って少し悪いことしたと子供ながらに思った。それにしても小さい時からかしこい顔してる。ケンはホントにホントにかしこかった。
ケンを飼い始めたのはいつの頃かは忘れたけどケンは僕に色んなことを教えてくれた。名前を呼んだらちゃんと答えてくれることも、自分よりすっごく早く走れることも、自分より早く大人になることも、老いていくことも全部ケンが教えてくれた。
そして、自分より先に逝くことも。
ケンと別れたのは小学5年生の時だった。さっきまで元気そうだったのに塾に行って帰ってきたら息をしていなかった。当時死というものに触れたのは祖父が亡くなった時ぐらいだったがみんなが泣いているので自分も泣かないとだめなのかな?と思うぐらいで訳も分かっていなかったが、さすがにこの出来事は衝撃的だった。昨日まであたりまえだと思って接していたものが急になくなった失望感や淋しさを味わうのも初めての出来事だった。
そういうことも全部ケンが教えてくれた。
僕の中ではおばあちゃん的な存在に感じていたのはケンがそれだけ優しく接していてくれたからなんだろうな。今でも伝説的に感じるケンの存在。
向こうでゆっくりしてるかな。