特殊を纏う者(Dress Shop ISORI表参道)
僕にはこの写真が同じ種のものに見える。
素人が簡単に運転できる代物ではない。
素人が簡単に着こなし演技できる代物ではない。
ドレスとレーシングマシン。
10年の耐久性がある乗用車のような乗り物でもなければ
何度もクリーニングしながら繰り返し永く着るような服でもない。
過酷な使用状況があり、場があり、厳しい眼がある。
どちらも耐久性にエネルギーを使うことは無駄であり原資の浪費であり
極限られた一時だけに最大限の性能が発揮できればよし!
という短命な設計がなされている。
その中に身を忍ばすプレイヤーからも厳しい要求がある。
「走る、止まる、曲がる」ことのみに徹底した性能の追及。
「観客が喜ぶかどうか、舞台に溶け込みながら圧倒的な存在感があるか」
そのことのみに限定した徹底した美の追求。
目的に集中しているプロだからこその一切の無駄を排した甘くない要求である。
運転しやすくないこと、着心地がよくないことは重々承知の事。
プロは卓越した技量と心構えで
一般の我々が真似できない物を使いこなすからこそ、
そして更にはその最大限の機能を発揮させることが出来るからこそ
そこに非日常が生まれ憧れになり記憶に深く刻まれるレジェンドになるのだ。
もちろんマシンやドレスを開発する側が「使いやすさ」を求め新たな性能に挑むことは当然の義務であるが、
もし使いこなすことが求められる側がプレイヤーとしての最大の目標を緩めてまで、乗りやすさ着やすさになびくことがあれば
僕は、「それは間違いだ、観客をなめるな、その程度なら辞めろ。」
と言い続けたい。
衣裳屋として販売している者として勇気のいることであるが
ISORI はそれが言える場であり続けたいと心底思う。
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明日5月1日はアイルトンセナの命日である。