映画大好き主婦ライターのことです。
映画が好きすぎて、フランス語の字幕翻訳家をめざしていたこともあります。
結果的に翻訳の仕事はしていますが、字幕翻訳家にはなれませんでした
そんな話はさておき!
フランス映画のイメージを聞くと
「芸術性が高いけれど、ストーリーが難解」
「シュールで、皮肉っぽい」
「メッセージ性が強くて、難しい」
「ハッピーエンドが少なくてモヤモヤする」
なんて答えがよく返ってきます。
わかる
よーくわかる
恋愛ものですら、なんでこの結末
って感じる作品が多いですよね
でも、今回ご紹介する『アメリ(Le Fabuleux Destin d'Amélie Poulain 直訳すると「アメリ・プーランの不思議な運命」)』は、そんなフランス映画のイメージを覆した作品じゃないかな?と個人的には思っています。
フランスではもちろんのこと、日本でも大ヒットした2001年の作品です。
『アメリ』を観たら、パリに行きたくなりませんか?
あのカフェ・デ・ドゥ・ムーラン(Café des Deux Moulins)で、クレーム・ブリュレ(Crème brulée)をスプーンで割りたくなるでしょう?
わたし、監督のジャン=ピエール・ジュネ(Jean-Pièrre Jeunet)の大ファンでして
マルク・キャロ監督とコンビを組んだデビュー作『デリカテッセン(Delicatessen)』から『天才スピヴェット(L'Extravagant Voyage du jeune et prodigieux T.S.Spivet)』までのジュネ作品はすべて映画館で観ています。
『ロスト・チルドレン(La Cité des enfants perdus)』はフランスの映画館で観ました
(最新作のNetflix映画『ビッグバグ』はまだ観ていないので、ネトフリに登録しなきゃ)
『アメリ』は、ジュネの作品のなかではストーリー的には異色といえます。
こんなに愛らしい作品は、ほかのジュネの作品にはありません。
驚くことに『エイリアン4』と同じ監督の作品なんですよ
なので『アメリ』のようなストーリーを求めて、ジュネの作品を観ようとは思わないでくださいね
ブラックユーモアたっぷりで、摩訶不思議な近未来や独特の世界観を描いた作品がジュネの基本線です。
もちろん『アメリ』のなかにもブラックユーモアはあるし、ユニークな人物が登場しています。でも、ほかの作品に比べたら、そういった要素は薄め。
常連俳優のドミニク・ピノンが出演しているので、「あ、ジュネの作品かな?」と想像はつくかも
ストーリーは、童話的要素を現実の世界に引き込んだ、とでもいうのかな。
これまでのフランス恋愛映画にはないラブリーなシーンが満載です。
それがフランスでもヒットした理由かもしれませんね
もともとイギリスの女優エミリー・ワトソンをアメリ役と想定して脚本が書かれたそうです。
彼女の降板によって抜擢されたのがオドレイ・トトゥ。
でも、映画を観ちゃったら、オドレイ・トトゥ以外にアメリ役は想像つかないと思いません?
それくらいイメージにピッタリですよね
『アメリ』を観た人が抱く感想は「おしゃれ」「キュート」「かわいい」といったものが多い気がします。
なんといっても、舞台がパリですからね
赤と緑のコントラストが特徴的。
この色彩が作品にポップな印象を与えています。
ジュネの作品は色彩感覚が独特で、わたし好み
内容的には、ハリウッドのラブストーリーにはない展開です。
空想が好きで、なんの変哲もない日常を送るアメリが、少しずつ外の世界を見ることで変化していく。
そして、内気なアメリの恋愛にハラハラし、思わず応援したくなる
最後はみんなが幸せになって、観ている側のわたしたちも幸せな気持ちになれる作品です
でも、ただのハッピーエンドの恋愛ものではないし、ただのおしゃれな映画でもない。
セリフのそこかしこに深い意味があり、ジュネ監督らしい映像美があります。
そのあたりにも注目してくださいね
『アメリ』の基本情報
タイトル:『アメリ』
原題:Le Fabuleux Destin d'Amélie Poulain(フランス語)
監督:ジャン=ピエール・ジュネ
脚本:ジャン=ピエール・ジュネ、ギヨーム・ローラン
製作:クロディ・オサール
キャスト:オドレイ・トトゥ、マチュー・カソヴィッツ、ドミニク・ピノンほか
音楽:ヤン・ティルセン
公開:2001年(フランス)
上映時間:122分
製作国:フランス