東関東チャリ旅 (千葉⇒神栖) 2005年11月11日 | Coca-Column

東関東チャリ旅 (千葉⇒神栖) 2005年11月11日

早朝まだ薄暗い街並み。聞こえる音は千葉駅に押し寄せるサラリーマンの足音と、改札の通過音、そして走り去る電車の音のみ。街全体がまだ寝静まっているかのようだった。そんな中、一人大きな輪行袋を抱え駅の隅っこに立っていた。ここから北海道の最北端の地である宗谷岬まで自転車で行く。


“自転車で行く”と言うととてつもなく大きな野望に聞こえるが、残念ながら一気に宗谷岬まで行くわけではない。本心は一気に北上したかったのだが、もうやりたいことを好き勝手にできる年齢ではないため、ただ限られた時間をうまく使い走ることしかできなかった。行けるところまで自転車で走り、時間があるときに再びそこから始める。つまり断続的な走りをすることになる。


断続チャリ旅…


もはや野望とは恥ずかしくて呼べないとてもくだらない代物…だがそのくだらない野望をどうしても挑戦してみたい自分がいた。


旅のスタート地点は千葉駅からだった。今までチャリで走った明確な最北端の地は千葉駅だったのがその理由だ。当時は学生で房総半島を一周ママチャリで走った。日本縦断チャリ旅の予行練習のために行ったものが、まさか旅の一部になってしまうとは夢にも思っていなかった。


今年のゴールデンウィークに真鶴から名古屋まで自転車で走った。だから今回はその続きをしようかとも考えていたのだが、名古屋より先となると新幹線に乗らないとスタート地点まで行くことができない。今回は短い週末を利用しての旅なので、お金を掛けて遠出するよりも比較的近場から地道に攻めることにしたのだ。


輪行袋から顔を覗かせていたのは、真鶴から名古屋まで走った時と同じ折り畳み自転車だった。折りたたみ自転車のスピードの限界を改善しようと、カスタムについて考えていたのだが、適当なタイヤやパーツが見つからなかったためカスタムできずにいた。 本来ならばカスタムしてから旅を続けたかったのだが、「カスタムするのを待 っていられない」「何か熱いことをしたい」という気持ちに突き動かされて、急遽今回の旅が始まったのだった。


自転車を組み立て駅から一歩を踏み出す。千葉駅周辺は大きな道路が迷路のように行き交い、頭上にモノレールが走っている近代都市のような景観だった。国道51号に乗ってしまえば後はしばらく走り続けるだけなのだが、目的の51号が見つからない。以前房総半島一周チャリ旅をした時も、道に迷ったものだと思い出す。通りを歩くおばさんに声を掛け、何とか51号に出ることができた。


平らな道が続き、ペダルを漕ぐだけで距離が稼げる。 ウォーミングアップとしてはもってこいだ。体のエンジンが温まった頃成田に到着した。

Coca-Column 国道295号に乗り換える。成田といえば外国との玄関である成田空港がある。空港の敷地付近では、地上擦れ擦れに飛行機が離着陸していく様子が見える。思わず写真を撮りたくなり、自転車を降りてカメラを構える。


空港に近づく度に、道路脇に駐車場が増えてきたように感じる。

初めは何で遠くて空港に歩いていけない場所に駐車場があるのか不思議だった。 だが考えてみれば納得できる。一日のうちに成田空港を利用する人は何十万人といるのだ。その全員が空港に駐車したら堪ったものではない。いつもと違った成田空港の一面を見た気がした。


県道44号に乗り換え東へ進む。お昼になり、どこかで昼食でも食べようと思うのだが、県道ということもあり店が全く見当たらない。そんな中、畑に周りを囲まれた小奇麗な道の駅くりもとがあった。自転車を止め、地元の特産物である野菜達を食べる。あまり休憩を取らずに来たから、疲れがどっと押し寄せるがなんとか気合を入れて再び出発することにした。
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数時間走り続けると街が賑わってきたのが分かる。ついに今回初の県境である千葉県と茨城県の県境利根川に到着したのだ!なんだか橋を渡っていると、外国の国境にあるイミグレーションを通過しているような感覚に陥る。何気ない瞬間なのだが、その瞬間がとてもうれしい。ただ地名が変わること、それだけで今までとは違う新しい場所に来たという新鮮な気持ちになった。


今日は神栖町の健康ランドで泊まることにした。本当ならもう少し進みたかったのだが、この先しばらく気軽に泊まれる健康ランドがなかった。時間はまだ3時過ぎでいつもと比べ時間は早い。今日は健康ランドでゆっくりできそうだ。


国道124号に入ると、もう到着した気分になりイオン脇のマクドナルドに入ることにした。さてあとは健康ランドに行くだけだ。 雑誌と飲み物を買い、それらをハンドルに引っ掛けて走り始める。


辺りは暗くなり始めていた。道は直線なのだが、歩道は段差がありとても走りずらい。思い通りに進めないせいか、予想に反してなかなか宿に到着できないでいる。まだ着かないとはおかしい…コンビニに入り道を尋ねると、自転車で30分くらい過ぎ去ってしまったことを教えてくれた。無駄な労力を使ったことに愕然としながら、元来た道をトボトボと戻る。もう早く着こうという気力はなくなり、無心でペダルを漕いでいた。健康ランドに到着した時にはいつもとほとんど変わらない時間になってしまった。


風呂で今日の汗を流した後、食堂で中華丼を食べながら明日のルートを考える。できれば東海村あたりまで明日は行きたい。 思ったよりも距離を稼げないのがとてももどかしい。しかしそんなジレンマを感じながらも、あくまで断続チャリ旅なのだから、そう焦る必要はないのではないかと考え直すのだった。