霧雨が降っていました。
ふわっと顔にかかるような水滴が舞ってるような、
そんな霧雨。
外に出てもすぐには濡れなくて。
雲はそんなに厚くなくて、雲の向こうに太陽があるのがわかります。
庭に出ると、芝生は青々としていて、踏んでも負けない勢いでした。
周りをたくさんの人が走っていました。
男の人も女の人もいました。
マラソン選手みたいに一生懸命走っていました。
私が走っている人を見ていると、ひとりの男の人がもの言いたげに近づいてきました。
なにか言おうとしているんですが、あまりに息がきれていて、言葉になりません。
それなのに足を止めることもなく走り続けています。
走りながらなにか言おうとしています。
彼はともだちのおとうさんです。
ともだちのことで、何か言いたいようです。
しかたなく私は彼について伴走して尋ねました。
「そんなに苦しいなら休みませんか?」
かれは首を横にふるのみです。
なにかをしゃべろうとすると、せき込むようです。
「どうして、みんな走っているのですか?」
かれは悲しそうに笑いました。
「では、わたしもいっしょに走ります」
というと、かれは首を横に振って、去るようにうながしました。
かれに友達のこと、見守るように頼まれたんですね、きっと。
友達は幸せにしていますよ。
杏
