2017年1月に10万円程度だったビットコインは同年の12月には230%上昇し1ビットコイン230万円を超え、多くの億り人が誕生しました。その後ビットコインは暴騰と暴落を繰り返しながら徐々に上昇を続けていき2024年3月には1ビットコイン1000万円を超えました。ビットコインをずっと持っていれば今頃億万長者だったのにと考える方もいると思います。

しかし、個人的に初心者はビットコインを代表とする暗号資産(仮想通貨)への投資はあまりおすすめできないと考えています。

暗号資産(仮想通貨)への投資をおすすめできない理由

  • 手数料(スプレット)が高い
  • 税金が高い
  • 値動きが大きすぎる
  • 暗号資産自体は新たな価値を生まない

手数料(スプレット)が高い

初めにビットコインなどの暗号資産の売買には手数料またはスプレットがかかります。
スプレットとは為替取引にも利用されていますが、売値と買値の差額です。
例えばこちらは私が実際に使っているGMOのドル/円の取引画面ですが、
BID(売)とASK(買)に差があり、これをスプレットといいます。
ドルを買ってすぐに売ったとしてもこの差がある分マイナスになっていまいます。
海外旅行に行ったことがある人はなんとなくイメージがつくのではないでしょうか

 

「ドル」も「円」も世界的に見ると信用度の高い通貨で且つ取引量も多いので
このスプレットの差が0.2銭(0.002円)と比較的安いです。

 

それに対してビットコインのスプレットは5%程度かかります。(交換所と取引所によっても異なります)
人気のインデックスファンドのeMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)の年間にかかる手数料(信託報酬)は0.05775%なので比較するとビットコインは100倍近い手数料がかかります。

 

仮に100万円でビットコインの売買を10回繰り返して取引全体がプラスマイナス0だったとしても
手数料だけで40%以上持っていかれて、残りは60万円になってしまいます。

税金が高い

株式とは違い仮想通貨は雑所得に該当するため、総合課税として加算されます。
雑所得とか総合課税とか意味わからんという方が多いと思うのでざっくり説明すると
株式ではどんなに儲かっても税金は約20%なのに対して、
ビットコインで儲かった場合は、儲かった金額に対して税金が増えていく仕組みです。


国税庁HPより

 

株式とビットコイン(暗号通貨)で4000万円利益が出たと仮定すると
株式にかかる税金は
4000万円×税率20%(所得税15%+住民税5%※一律)=800万円

 

ビットコイン(暗号通貨)にかかる税金は上記表に加えて住民税10%が加算され
4000万円×55%(税率45%+住民税10%)=2200万円ー控除額4796000=1720万円

 

このように株式とビットコイン(暗号通貨)では最大で900万円以上支払う税金が変わってきます。
 

また、株式では1年間の取引の合計がマイナスの場合、3年間損失を繰り越して控除できます
例えば、今年の株式の取引合計がマイナス10万円の場合、確定申告することで来年10万円の利益がでたとしても繰り越して、利益を0円(−10万円:今年分+10万円:来年分)できるため来年分の利益に税金がかからなくなります。暗号資産ではこの繰越しができません。

 

また、ビットコインなどで他の仮想通貨を購入した場合、ビットコインの利益確定→新たな仮想通貨の購入となるので利益が出ていた分は税金がかかりますので注意が必要です。

値動きが大きすぎる

冒頭でもお話しした通り、2017年に一気に1ビットコイン230万円までの成長を見せましたが、翌年の2018年には90万円程度まで値下がりしています。投資していたら1年で資産が半額以下になってしまい、2008年のリーマンショック時のS&P500の暴落率が約45%なのでそれを超える暴落でした。投資経験の浅い人がもし投資をしていた場合耐えられたでしょうか?

 

また価格が国の規制や著名人の発言に影響することもリスクのひとつです。
2017年9月に中国が投資家保護と金融リスク抑制を理由に暗号資産の取引を停止しました。これにより、一部の仮想通貨が暴落しました。

 

暗号資産の取引に関わる事項として「採掘(マイニング)」というものがありますが、この作業に大量の電力が使われ、環境保護の観点から問題視されており今後も暗号資産の取引が規制する国がでてくると暗号通貨の価格に大きな影響があることは認識しておいたほうが良いかもしれません。

暗号資産自体は新たな価値を生まない

ビットコインなどの暗号通貨はなぜ価値があるのでしょうか?簡単にいってしまうとみんなが「価値がある」と信じているからです。通常国をまたがって送金するには銀行を介して高い手数料と着金まで数日要するの普通です。しかしビットコインでのやりとりであればそこまで手数料はかからず時間もそんなにかかりません。また、将来日本円やドルなどの通貨に替わる決済手段として活躍することなども期待されて需要に対して供給が追いついていないため上昇しているのかなと思います。


ビットコインはよくデジタル・ゴールドと言われたりします。
地球上にある鉱物のゴールド(金)の埋蔵量が決まっているようにビットコインにも上限が存在します。
ビットコインの発行上限は2,100万枚までと決まっており、2140年に上限に達する見込みです。


ゴールド(金)は紙幣が発明されるまでは長らくお金の役割を担ってきた歴史があり、全世界で信用がありビットコインなどの暗号資産も似たような性質をもっていることから、ゴールド(金)の代わりになることが期待されています。

 

実際にアメリカでは暗号資産のETFが承認されるなど徐々に認知度が上がっていますが、暗号通貨の歴史は2008年からと最近でまだまだ歴史があると言えません。


また、暗号通貨自体には株式会社のように利益が生み出す仕組みがないので、みんなが「価値がない」と判断すれば当然価格は下がります。個人的には今がバブルなのか適正価格なのかの判断が株式に比べて難しいと感じています。

結局、暗号通貨に投資するべき?

色々ごちゃごちゃと書きましたが、結局暗号通貨への投資はどうすればよいか?
ちなみに私は少量ですがビットコインとイーサリアムを保有しております(←おいっ!)

 

こちらは個人的な見解になるので参考程度に聞いていただければと思うのですが、
投資のメインはやはり王道の全世界株(オールカントリー)やS&P500などの低コストのインデックスファンドをコアとして
暗号資産への投資は5%未満に留め、かつ認知度が高く流動性のあるビットコインとイーサリアムなどに絞ったほうがよいと考えております。


実際に私の場合、暗号資産への投資額は総資産の1%未満です。

この辺の割合については個人差があると思いますが一番やってはいけないのは理由もなく「なんとなく儲かりそうだから投資する」という行動です。


投資信託の積立投資に比べて格段に難しい投資であると理解し、ある程度投資に慣れておりリスク・リターンをしっかりと認識したうえで投資いただければと思います。実際にビットコインの価格は上がり続けており、億万長者が生まれているのも現実です。

 

最後までご覧いただきありがとうございました。少しでも皆様のお役に立てば幸いです。