こんにちは!
ドラマティック☆コーチング 長瀬尚彦です。
頑張っているあなたの背中をそっと押す、そんなエピソードをお届けいたします。

いよいよ東京オリンピックが開会しました。
ソフトボールのオーストラリア戦の快勝をきっかけに、各競技とも勢いを感じますね。
史上最高の成績を期待したいと思います。

さて、オープニングセレモニーでもエッセンシャルワーカーへのリスペクトが表現されていました。大会を支えるスタッフやコロナ禍、社会を支えてくれたドクターやナースなどの方々です。こういう方々の支えがなければ、選手や競技が成り立たないのですからね。

“支える”と言うと、コーチングを専門にしている私としては、アスリートの活躍を支える「コーチ」たちに焦点を当てずにはいられません(!)

中でも私が注目しているのは、陸上男子100メートル代表、山縣亮太選手と高野大樹コーチです。

 

今回は、日本最高のアスリートとコーチの2人から、背中を押してくれるヒントを見つけていきましょう。

 

◆山縣亮太選手がトレーニング方法を変えたワケ

ご存じのように、山縣亮太選手は、今年6月5日に9秒95の日本記録をマークし、東京オリンピックでも期待をされているスプリンターです。

2016年のリオデジャネイロ五輪4×100mリレーで銀メダル獲得したメンバーということで、ご存じの方も多いと思います。

実は山縣選手、トップアスリートでありながら、コーチをつけていなかったのです。
スタッフに走る姿を撮影してもらい、自分自身で考えるスタイルを貫いていました。

そのような中で10秒台を走る日本屈指のスプリンターであったのですから、フィジカルはもちろん、すごいメンタルだと思います。

ですが、そんな山縣選手にスランプが訪れます。

2019年に持病の背中痛に加え肺気胸を患うなど日本選手権を棄権。さらに、足首靭帯の断裂そして膝のケガと、「もう、選手生活を続けられないかもしれない」そう思うほどに、心身ともに追い込まれてしまいます。

この状況を打開するためには、「コーチ」の存在が必要だと考えた山縣選手は、プロコーチとして実績のある高野大樹氏にコーチの依頼をしました。



◆山縣亮太選手と高野コーチのコーチングとは?

高野コーチとコンビを組み、9秒95の日本記録と言う結果が出たわけですが、そのコーチングはどのようなものなのでしょうか?

高野コーチのコメントにその一端が表現されています。

 

『山縣自身も、セルフコーチングというのは変えていないと思います。だから僕は彼に教えているという感覚はあまりなくて、彼が課題と考えていることを話してもらって、それを一緒に考えていくという感じです。』

 

コーチというと、いろいろ教えるとイメージがあります。

しかし、山縣選手のように一流のアスリートです。
技術的なものを“教える”よりは、“自分の中にある答え”を引き出し、それをどう力に繋げるかの方が優先されます。

今まで自分で考えてきた山縣選手ですから、高野コーチは「指導する」より、「一緒に考える」ことで、自身が「自主的に行動する」ことを促しているのです。

そしてもう一つは「視点を変える」ことで、新たな気づきを促しています。

高野コーチは山縣選手とかかわった当初、"走りのタイミング"について山縣選手に話をしました。
しかし、山縣選手はその言葉のイメージが湧かなかったそうなのです。

ですが、一緒に練習を行い、コミュニケーションを重ねていくうちに、山縣選手自身から“タイミング”や”リズム”といった走りのイメージを言葉にするようになったのです。

高野コーチからヒントを得た山縣選手は、自分で行動しながら、新たな視点で見ることで違う景色が見えてきたのです。

 

 

◆山縣亮太選手と高野コーチのコーチングから学ぶポイント

スポーツに限らずビジネスや親子関係など、人の成長を促すとき、「あるべき姿」を追い求めていきがちです。

高野コーチのコーチングでまず注目したい点は、山縣選手の「なりたい姿」をまず優先させている点です。
コーチの理論的なあるべき姿に当てはめて、不足点を埋めると言ったことはしていません。

実績がある人には、その人の「なりたい姿」をクリアにして、それに到達するために、何をしていくかを一緒に決めていく姿勢が大切だということ。

そして、もう一つは新しい視点で気づきを促していることです。
経験豊富な人ほど、「視点が固定化」しています。
今までの成功がそこにあったからです。

しかし、そのやり方で成長がないと感じた山縣選手ですから、新しい視点が必要だったのです。

高野コーチは“走りのイメージ”と言う言葉を投げかけて、意識の変化を促しました。

その結果、新しい“走りのイメージ”が山縣選手に生まれて、今まで越えられなかった“10秒の壁を越えることが出来たのです。

コーチングではこのこと「視点の移動」と言います。

いつもの視点から、「過去」や「未来」、あるいは「第三者」の視点によって、新たな気づきを得られる効果があります。

 

◆まとめ

 

山縣選手と高野コーチからの学びとしてはこの二つです。

・本人の「なりたい姿」を明確にして、そのための行動を描くこと。

・「視点の移動」で、新しい気づきをえること。



 

山縣選手は今まで自分の才能を自分自身の考えで磨き上げながら、オリンピック選手となりリオ五輪では4×100リレーで銀メダルに輝きました。

しかしその後の成長は、ケガなどもありライバルたちの後塵を拝する状況でした。
このままではこれ以上に成長はおろか選手生活さえも継続できない状況に陥った時、コーチをつけ新たなチャレンジを行いました。



結果として、9秒95の日本記録をマークしたことで、ライバルを追い越し、世界に向けてさらにチャレンジを続けています。

そのチャレンジが身を結び、東京オリンピックで大きな成果につながることを期待したいですね。

今日も最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
では、また!