THE 100-YEAR LIFE  LYNDA GRATTON& ANDREW SCOTT

 

今回紹介する本は、『LIFE SHIFT 100年時代の人生戦略』のタイトルで和書にも翻訳されているものです。

 

内容は、人々の寿命が延びてきて、100年生きる時代に変わりつつあることについての論文である。長い寿命を恩恵と感じるためには、色々な面で変化が必要である。3人の世代が異なる架空の人物のライフスタイルをモデルにしながら、今までのライフスタイル、今現在変わりつつあるライフスタイルそして、未来のライフスタイルの可能性を描き出している。

 

この手の話題だと一番に頭に浮かぶのは、年金問題である。どちらかというと暗い話を想像してしまうが、そういうネガティブなことばかりを書いた本ではない。お金の問題にも言及しているが、そういうtangible(金銭評価できる資産)だけでなく、友情や家族といったintangible(金銭評価できない資産)についても言及している。

 

著者たちが言うように、長生きすることは、端的にいえば、時間が多くなることである。長寿を呪いと感じるのか、恩恵と感じるのかは、与えられた時間を活用できるかどうかにかかっている。活用していくために今後どうしていったらよいのかを考えていこうという前向きな本である。

 

私個人の印象としては、最近の病院の繁盛ぶりを見ると、本当に100年時代が到来するのか怪しいと思わざるをえない。しかし、少子化時代に確実に突入している日本では、長く働くようになる流れは既に来ており、今後更に定年が高齢化すると思われる。

 

そうすると、一つの会社で勤め上げない人が今以上に増えるだろう。または、同じ会社に勤めていたとしても、会社の業務内容が大きく変化し、それに伴い仕事内容が途中で変わることは大いに考えられる。つまり、ここで必要になるのが、新しい仕事のための知識の習得であろう。

 

企業も大卒の新入社員であれば、お金をかけて必要な知識を身に着けさせるが、中途採用の場合は即戦力で働いてもらうことを求める。知識は自分で習得しなければならない。もちろん大学に再入学したり、どこかのスクールに入ることも可能であろう。しかし、どこで勉強するにしろ、大人の勉強に求められるのは、学生のように試験をパスすることではない。自分から進んで身に着ける自学自習の姿勢が必要になる。この英語の勉強方法をメインとしたブログに尋ねて来てくれている方たちには釈迦に説法かもしれないが、英語に限らず自学自習できること、理解するとはどういうことかが分かることが大切になると思われる。

 

そこで、「そうか!アレをやろう!」と、具体的なものが思い浮かぶのであれば、それをやるだけなのだが、急に言われても何も考えつかないという人もいるだろう。もし、何に興味があるか分からない…と感じている方は、英語からスタートしてはいかがだろうか? 

 

多くの分野の論文が英語で書かれているので、英語を身に着けておくことは、今後自分が勉強したいものがハッキリした時にも武器になる。また、英語の勉強を通して色々な情報に触れることになるので、そこから自分の興味が分かることもあるだろう。

 

一度就職して社会人になったら、定年まで勤めあげて、その後は年金で細々と生活して、孫が来るのを唯一の楽しみにしながら生きていくものだと思い込んでいる人は、この本を一読して、もう一度自分の人生について考えてみるのもいいだろう。

 

私自身は、来世を信じているので、もし明日死んだとしても来世に何かしら良い影響を与えられるから何かをスタートするのに遅いことはないと思っている。もし、そう思っていない人でも実際に長い人生、もしくは定年が遅くなることが実感を持って予想されれば、50代や60第、いや70代、80代からでも何かを一から始めるのに遅いと言えないことが納得できるだろう。

 

そして、興味のあることにチャレンジすることで、実際に脳も活性化されるだろうし、やる気もでてきて若返るだろう。やりたいことをマスターするまでやると決意すれば、長くやり続けられるように健康にも気を遣うだろう。そうすることで、結果的に人生100年時代が本当に到来すると考えられる。

 

さて、英語のレベルの方は、多岐にわたる引用文献に支えられている論文ではあるものの、簡単な構文で書かれていて分かりやすい。単語は簡単とは言えないが、扱っている内容が生活スタイルについての話なので、全く分からないということもないと思う。和書を参考に読み進めてもいいと思う。もし、和書を読んでいて、原書にチャレンジしようと考えているのなら、全部を読もうと構えずに和書で面白かったところだけを原書で読んでもいいかもしれない。そうすれば、気負わずに原書にチャレンジできるのではないだろうか。

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