『Sapiens A Brief History of Humankind』 Yuval Noah Harari著
この本は『サピエンス全史』というタイトルで和書が出ている本です。和書では上下2冊のようですが、洋書は1冊で、Indexまで含めて全部で498ページです。
タイトル通り、人間というか、ホモサピエンスの歴史を大局的に見ていく本です。狩猟民族から作物を作って定住する生活に変わり、お金というシステムを構築していく…。そして、科学が発達していく中で、幸せについても考察していきます。
学校の歴史の勉強だと、どうしても、どこの国で誰が○○をした…と、細かい流れを見ることになるので、大きな流れが掴めない。また、突出した人物ばかりにフォーカスされていて一般人が何を考えていたのかは、教えてもらわないし、考えたこともありませんでした。
昔、『ソフィーの世界』を読んだ時にも、大局的に見ることによって世界観が変わることを経験したのですが、それと同じように感じました。
また、今まで信じていたことが、本当は違ったということもありました。
少し引用します。58ページから一部抜粋します。
Ancient foragers also suffered less from infectious diseases. Most of the infectious diseases that have plagued agricultural and industrial societies (以下略) とあるように、農業を始める前の定住せずに食料を採集しながら生活していた時の方が、感染症病気にかかりにくかったとは知りませんでした。他にも最近の方が絶滅している動物の数が多いと思っていたけれど、そうではなく、ホモサピエンスが地球上に広がったことによって、絶滅している動物の方が多いのを知って驚きました。
ただ、最後の方に宗教について書いてあるのは、ちょっと疑問な部分もありました。ただ、
仏教も沢山の宗派がありますし、私も宗教の研究者ではないので、本に書いてあるような考え方を教えている仏教があるかもしれないので、大きなことは言えないのですが、ちょっと気になりました。
細かいことを書いてしまいましたが、この本の真骨頂は、視点を変化させてくれることだと思います。また、文章の中にユーモアがあり、難しい内容にもかかわらず、楽しく読ませてくれる所も素晴らしいと思います。
さて、英語のレベルですが、単語は、それなりに多岐に渡り、難しいと思います。固有名詞も多いので、そこも難しいかもしれません。しかし、構文が難しいことはないので、単語を調べながら読めば、読めなくもないです。ただ、和書でも、この手の論文系の本に慣れ親しんでいる方なら問題ないのですが、読みなれていない場合は、普通に本の内容について思考する方に能力のかなりの部分が使われるので、その上、単語を調べながら読むのは、難しいかもしれません。和書は読んでいないので、全訳なのか抄訳なのか分からないのですが、全訳ならば、という前提で、和書と洋書を両方用意して、対訳本のように読んだ方がいいと思います。