むすびとして | ITベンチャーで働く社員から、就職活動に勤しむ学生へ

むすびとして

 今回はイチローと落合博満を題材にプロフェッショナルとは何か、について学びました。プロフェッショナルとは何か、という本は世間に数多くあれど、私にとってはどれも正解のような気がします。イチローの作文を読んで、プロフェッショナルとなると決めた時からプロフェッショナルであり、落合監督の言葉を聞いて、ただプロフェッショナルでい続けることが難しいと知る―それが、プロフェッショナルなのだと思います。

 ですから、どうぞ今日から皆さんもプロフェッショナルの意識を持って下さい。まだプロ野球のように生き残るかクビか、だけでないだけマシじゃないですか。ましてや、武田勝頼のように見限られ死を迎えることもありません。野村克也氏はかつて「意識が変われば行動が変わる、行動が変われば習慣が変わる、習慣が変われば人格が変わる、人格が変われば人生が変わる」と言いました。人が変わるのに、大層なことをする必要は無いのです。物の見方や捉え方、考え方を少し変えるだけで、行動は変わるものです。プロフェッショナルになろうと意識を変えた瞬間から、意識は変わるものなのです。イチローはかつて自分で無意識にやっていることを、もっと意識をしなければならない」と言いました。意識するということは単純に思えて、これほど難しいことは無いと思います。例えば今日朝起きてから、この会場に来るまでの時間に皆さん自身がした行動は、全て意識したものでしたか? しかし、そういう所から意識を変えていかないと、行動は変わらないと思いますし、習慣は変わらないと思います。

 ピーター・ドラッガーは言いました。「未来を語る前に、今の現実を知らなければならない。現実からしかスタートできないからである」と。皆さんがどれだけ崇高な自分自身の未来を語ったとしても、今の僕が判断出来るのは皆さん自身が歩んできた過去と現在ですし、また面接で語れるのは過去と現在です。未来は、会社=組織と皆さん自身で、一緒に語っていく問題です。未来を創造するのは、今からです。今から始めるのです。その今を見つめないで、どうするのですか。龍谷大学という中堅以下の大学で、何もせず何も考えず3年半過ごして掌に残っているのは一体何だと言うのですか。就職活動は楽だと、最近の世論は言います。しかし、就職活動が楽だから一体何だと言うのですか。その先30年間、皆さんは働き続けなければいけません。組織に絶望するかもしれない、人間が解らなくなるかもしれない。そうなったら、どうするのですか。就職活動に楽も苦もありません。問題は、その先で皆さんがどのように働き、どのように人生を生きるかです。

 先に話した人間学、組織学も、皆さんがどのように働き、生きるかの手助けになるようにとお話しました。そしてこのプロ学も、プロフェッショナルの意識の持ち方を学んで、いかに仕事を生きるかについて話をしたつもりです。しかし肝心の皆さんが、意識を変えないと何も始まりません。だからこそ、あえてプロ学を最後に話しました。

 大学生であっても、就職活動生であっても、内定者であっても、新卒であっても、その瞬間にしか出来ないことは山のようにあります。それをやらずに、自分の将来に現を抜かすのは止めた方が良いです。そんなことをしていたら、いつまで経っても意識の変わらない平凡な人間のままです。

 確かに変わるということは怖いことです。今までの自分を変える時ほど、恐怖に苛まれることはありません。しかし、変わらないといつか誰かに抜かれます。抜かれたら最後、誰も振り向いてくれない可能性だってあります。最後にプロ野球選手で、大リーグに挑戦した桑田真澄選手の言葉をもって締めたいと思います。

やるか、やらないかですよ、人生は。
やればそれだけのものが返ってくるし、やらなければそのままですよ。