夜が明けて

波平さんの身体もすっかり

冷たくなってしまった。

 

飼い主の最後の仕事だ。と

火葬場に連絡をした。

 

念のためと

安心して任せられそうな

火葬場は調べてあった。

 

電話に出てくれた方は

私に寄り添ってくださり、

もう1日は一緒にいても

大丈夫だと言ってくれたが、

その日の最終時間に

お願いする事にした。

 

もう波平さんの魂は

抜けているだろうし

亡骸にしがみつくのは

波平さんも本望じゃないだろう。

と思った。

 

この数日は

いつ異変が起きるかと

ハラハラしていたのに

安らかな表情をして

眠っている波平さんを

見ると

よかったね。と思えた。

 

そして、寒さに備えて

ブランケットを編んであげようと

毛糸を買っていた私。

それどころじゃなかったけど

最後のプレゼントにしようと

朝からブランケットを編んだ。

 

最後に手編みの

ブランケットだなんて

重たい女だな~

って思われてそう。

 

全然うまく編めないけど

これが精いっぱいです。

とブランケットをかけた。

 

バラが好きで

すぐかじっちゃって困ってたけど

かじっていいよ~と

バラも添えた。

 

食べてほしかった

ちゅーるもごはんも。


愛してやまない爪とぎも。


 

 

母も行くというので

家に来てもらった。

 

波平さんを見て

泣き崩れる母。

こんな母は初めてみた。

愛されてたね、波平さん。

 

時間になったので

火葬場へ。

向かってる最中

お別れを実感してきて

涙が止まらなかった。

 

火葬場の方は

思いやりのある言葉を

かけてくれて

波平さんを見て

かわいいね。

綺麗にしてもらって

よかったね。と

撫でてくれた。

 

祭壇から火葬場へ行き

火葬する台に

波平さんを乗せる時が

最後の抱っこだった。

顔をなでて

体をなでたあと

さよならをした。

 

 

骨になって

戻ってきた波平さんを

スタッフの方は

立派な骨ですよ。と

教えてくれた。

大事に大事に拾った。

骨壺の引き渡しの時に

「こんなに大事にしてもらって

波平ちゃんも幸せだったと思います。」

と言ってくれて

涙が止まらなかった。

 

 

 

生後2か月くらいの時に

公園から女の子の家まで

トコトコと付いてきたという

波平さん。

困った親御さんが引き取り手を

探していた所、わたしに

ご縁が巡ってきた。

 

はじめて飼う猫。

引き取り前に、本当に飼えるか

環境、お金の面も調べて

ペット飼ってる人にも相談して。

 

よし、飼いましょう。と

引き取ってから看取るまで。

飼い主としての責任は

全うできたんじゃないかな。

と思っています。

 

後悔は山ほどあるし

やってあげたかった事も

まだまだある。

欲を言えば

おじいちゃんになった

波平さんをみたかった。

 

でももうお空に行ってしまったから

私がそこに行くまでは

安心できる場所で過ごして

また会えると願うしかないかな。

と思っています。