急成長中の会社におじゃまするときがあります。
創立者を含めたコアメンバーだけでは業務量が追い付かなくなって、最近10~20人単位で人を増やし始めた、というような会社です。

コアメンバーの2倍、3倍に新規メンバーが増えると、つきあたる壁があります。それは、設立当初からの思い、会社の存在意義、従業員として大切にすること、といった思いの共有が希薄になることです。

苦楽を共にしてきた創立メンバーはよく知っている部分ですが、新メンバーは、話には聞いているけれど腹の底までは入っていません。短期間に無理やり詰め込む必要はありませんが、徐々にわかっていってもらわないと、いつまでたっても創業者陣営とその後の陣営とで認識のズレが出てきてしまいます。後の対応の大変さを考えると、重要なことだと思います。

では、どのようにケアしていけばよいのでしょうか?
急成長中の会社は、ただでさえ業務に忙しく、仕事を把握してすぐに始めてもらうのに手一杯になりがちです。

こんなときこそ、空間の力を借りましょう!
会社設立時の思いやこんな世界にしたいという夢を会社受付に飾ってはいかがでしょうか。カッティングシートを自分たちで切って貼ったり、ガラスにつけるジェムを使えば、お金は少なくて済みます。

格好よくしたいときは、全体のデザインをデザイナーに依頼しましょう。あるいは、社内にデザイン経験者が1人はいるのでは?早速お願いしてみましょう。
全体の下絵を描いてもらって、細部は会社の1人1人が書き込むのはとてもいいと思います。一緒に仕上げることで同じ経験を共有した一体感ができますし、何よりお客様に「この部分は私がつくったんですよ」とすべての従業員が説明できるのです。

予算が少ないときは、まずお客様がいらっしゃる場所から、会社受付や会社のエントランスを飾るのがお奨めです。お客様だけでなく、従業員も通る場所ですし、お客様をお迎えするものを全員でつくることができるからです。
ミッション、ビジョンを象徴するデザインをつけたり、会社の歴史を絵で描いてみてはどうでしょうか。将来こうしたいことを全員で毎年書き加えてもいいかもしれませんね。

さらに予算が少ないときは、会社の従業員にはよくわかっているが他の人からみると何だかわからないもの、思わず質問したくなるようなものを入口に飾ってみましょう。

初めて訪問されたお客様が「これって何でしょうか?」と質問する度に、従業員が「これは○○です。これは私たちにとって・・・」とミッションやビジョンにあたることやその背景を説明することになるでしょう。いわば、お客様の力を借りて、日々従業員にミッション、ビジョンの確認をするようなものです。自分の言葉で説明するので、自然に自分の中に入っていきます。お客様に説明できなければ、先輩に聞いたり、創業者に聞いたりするでしょう。こうして、少しずつ、設立当時の思いが会社の中に浸透していきます。

ちょっとだけやってみませんか?大丈夫。うまくいかなかったら、もとに戻せばよいのです。飾りは片づけられますし、ジェムやカッティングシートははがせます。