ある先生の言葉に「Off-JTはなくなりませんよ。だって、本番の事業で大失敗したら困るじゃないですか。安心して失敗できる場としてのOff-JTは必ず残るはずです」というものがありました。

聞いたときは、その通りと思いましたが、なぜか気になり、ときどき思い出しては考えています。


Off-JT(研修でも通信教育でもe-learningでもよいのですが)で、「安心して失敗できる場を提供していたか?」にはYesと答えられますが、「失敗を促進していたか?」にはNoです。


なぜなら、最初から失敗してしまうと、失敗への恐怖が増幅されてしまい、結果として、学ぶ気持ちが阻害されると思うからです。手法によっては、何の説明もなくやらせてみて、失敗したところで教えるというものがありますが、私はそれに賛成できません。参加者同士の関係性や失敗しても怖くない雰囲気、ラポールな場ができていても、正解のある質問をして、それに答えられなかったら即座に失敗を告げられると嫌な気持ちになります。見ている場合も嫌です。


●最初は小さな成功ができるよう誘導する

むしろ、最初はきちんと説明をして、小さな成功ができるよう誘導すべきだと思っています。「できた!」の結果、自信がつくと、自らいろいろ試す人も現れます。Off-JT実施側で、次の課題を準備しておくこともできます。そして、少しずつステップを上っていって、最終課題になったときが失敗のチャンスなのではないかと思うのです。最終課題だからこそ自由度も最大になっています。そこで、新しいことに挑戦して失敗したグループのメンバーが一番気づきが多かった気がします。


●全く失敗 or 冒険のない Off-JTってどうなんだろう?

Off-JTによっては参加者全員が慣れていて、そつなくこなしてしまって早く帰る、という場合もありました。こうしたOff-JTは心に残らないし、その後、身につけたことをやってみようという気も起きないと思います。さらに言えば、習ったことを職場で他の人に教えようとも思わないでしょう。

失敗という形をとらなくても、本人がOff-JTの中で普段はできない冒険をしてみる、その結果大きな気づきを得て帰る、そういうOff-JTにしたいです。


●参加者の冒険度を測る

「参加者がどの程度安心して、冒険できていたか?」はOff-JTを測る指標のひとつになるかもしれません。

そして、Off-JT実施側は、参加者が冒険できる自由度を入れる、冒険から帰ってきたときに内省を促す質問をタイミングよく行う、参加者全員でのシェアのしかた、などの工夫が必要になると思いました。