こんばんは。
今日は台風4号の影響で各地に大雨の被害が出ているようです。これも異常気象なのでしょうか?
私は気象予報の専門家ではありませんが、ここ数年、明らかに天候の変化が激しさを増しているのは確かです。ところでこの変化という現象は、気候だけではなく、調達を取り巻く世界にも及んでいるようです。
もちろん暑くなるとか大雨になるとか、そうした影響ではなくて、調達の構図自体が変わってきているように思えます。
今日の円相場は84円台と引き続き円高が進行しています。私は円相場で一喜一憂する必要はないと考えていますが、急激な変動は、明らかに企業収益や、消費者心理に影響を与えます。
ところで、こうした環境下で、ちょっと質問です。
「あなたの仕事は変わりましたか?」
もしくは「あなたの仕事は変化を先取りしていますか?」
答えはもちろん様々でしょう。でも私は敢えてこう伝えたい。
「変化は突然起きるものではなく、気が付いていないだけである」
「仕事のやり方は変わっても、調達マンとしての考え方、価値観を変えていかないと、変化の先取りはできない」
90年代後半から中国を中心とする新興国に製造拠点が移管され、2000年代以降は最大の消費国としてその地位を築きあげようとしています。そう10年以上かけて、その地位を築いてきているのです。この間、私の仕事も、国内中心の部品調達から、中国を中心とする海外調達の拡大、そして生産そのものの中国移管など、様変わりしてきました。グローバリゼーションの流れの中で、明らかに競争先は世界、しかも新興国に移ってきているのです。
こうした環境で、私たち日本の製造業はどう勝ち残っていけばよいのでしょうか?そして調達マンとしてどう生き残っていけばよいのでしょうか?
先日こんな言葉が、ある電子部品大手メーカーの営業マンから発せされました。
「今、電子部品は世界的に逼迫しています」
「供給できる数には限りがあるので、他社向けは供給数を絞って、御社に優先的に供給させてもらいます」
「今まで買って欲しくても買ってくれなかったのに、今になって欲しいと言われても困りますよね」
「それに調達のマネージャークラスの方は、相変わらず過去の買い手優位の姿勢で高圧的に要求してくるんですよね」
この会話を聞いて私は大変驚きました。
なぜなら今でもそんな調達があるという現実と、売りたくても部品が入手できない企業がごろごろ存在しているという実態があったからです。またこの発言には、一歩間違えば、私のところも同じ境遇に陥る可能性があるということを表しています。
その営業マンは、10年前と同じ価値観で仕事に向き合っているバイヤーが世の中多いとも言っていましたが、買い側の立場で一方的にサプライヤーに接し、無理な納品を要求し、対応できなくなるとサプライヤーが悪いと言う。これでは、いざバイヤー企業が困った時に、サプライヤーの対応順位が下がってしまうのも仕方ありません。また続けて営業マンはこう言いました。
「バイヤー企業の国際競争力は、その企業と、我々サプライヤーが作っているんですよね」
「やらせる側とやらされる側の構図のままでは、日本の製造業(群)は残っていけない時代がきたんですよ」
双方向によるサプライヤーマネジメントの重要性を痛感する瞬間でした。
さて皆さんの調達の現場では、どんな会話がされているでしょうか?
もしあなた自身、仕事の価値観に変化がなく、交渉で相手をねじ伏せようとして、あの手この手の手法探しの旅に出ているとすれば、ちょっと危ないかもしれません。
(西)