『彼女いるの?』

そう聞かれると毎回困るんす…

彼女っつか‘まみ’とは幼なじみでタメの25歳。

まみは3歳の時、親戚の叔母さんのうっぷん晴らしに暴力を受けて骨折。
その事がきっかけとなり‘まみ’本体(主人格)のまみは隠れてしまった。

小学校高学年あたりに家族がまみの発言や行動に対しての異変に気付いて病院へ行く。

気付くの遅過ぎねーか?

親兄弟はまみを気味悪がって放置。

当時では‘多重人格’と言われていた障害が近年では‘解離性同一性障害’(DID)疾患と診断される。




一緒にいても違う人格になると明らかに視力が変わったりする。
始めてのときはマジ驚愕。
本やwikiには載っていない症例は計りしれなく
まみ本体を守る為に生まれる多数の人格の中には男や二重人格もいたり
会うなり『初めまして。』なんて言われることはもう馴れたんだけど…

記憶を操作する人格には俺、嫌われてるから…

『お前には消えてもらわないとならないんだよっ!』

理解しようにも耐えられない一言で
俺は人を好きになることが怖くなって…
情けねー有り様だ


今でもどのまみを好きなのかよく分からない時がある
今電話しているまみは誰だ?
今日のブログのまみは誰だ?
俺だって、苦しくて淋しいけど離れたくないんだよね


高校を卒業してから夜しか外に出られない
明るみが怖いまみを早く元に戻してあげたい。

全てが明るみに照らされても、もう怖く無いってことを知ってもらえる日は来るんだろうか?

いつかまみが子供が欲しいと言ったら受け止めようと思う。
彼女が育児放棄するか、芽生える本能により障害が回復に向かうか分からないけど…



俺の仕事は声優
仕事は少なくアルバイトを主に生計を立てている。
今や世間では‘声優’=アニメ?かもしれないが、‘声’だけで分かってもらえる‘声師’と呼ばれるように成りたい。



3年前暗い部屋の中、細く震えた声で

『……勇くん…ずっとそばにいてね…』

俺に、確かな小さな声でそう言ったんすよ。

そのまま眠りに就く姿は彼女以外の彼女ではなく本来のまみ。


長年付き合って来て、初めてのまみ本体の声を聴いた夜だった。



Nailstyle and the CITY-0001.jpg

本当のあいつと二人の声で話たいことがまだまだある。


勇人