9月6日、第一生命経済研究所常務取締役
首席エコノミスト 嶌峰義清さんによる定例講演会が開かれました。
今回はCN総合コンサルティンググループの基金運営研究所株式会社の創立15周年、株式会社CN総合コンサルティングは10周年という
節目にあたる講演会となりました。
講演終了後はご参加の皆様との懇親の場を設け嶌峰講師を囲んで楽しい時間を過ごしました。
講演の内容は以下の通りです。
1.世界経済動向
〇企業景況感は米国・欧州・中国ともに下落傾向であり調整局面が継続
〇在庫循環から見ても世界経済は緩やかな減速局面に
〇一方で日本ではコロナ禍からの脱却が進み個人消費の拡大・インバンドの復活等から他の地域に比べれば好調に推移
2.物価動向
〇2020年半ば以降本格化した世界的なインフレ傾向はエネルギー価格のピークアウトにより一段落
〇米国・欧州では労働需給逼迫に起因する賃金上昇に歯止めがかかっておらず、インフレ再燃の可能性は残存
〇日本では米欧に遅れていた雇用・所得の回復が物価高・景気回復を背景に漸く実現
3.各国景況感等
日本
〇企業景況感:輸出は価格上昇の一方で数量は拡大せず、中国のゼロコロナ政策解除に伴う効果も大きく見込めず
〇個人消費:物価上昇にもかかわらず実質消費支出は低下
〇当面の金融政策:安定的に2%を超える物価上昇が確立していないとの判断に基づき、現状ではYCC緩和で対応
米国
〇労働需給は超逼迫→賃金上昇は継続。これにより消費者マインドは持ち直しているが、物価上昇率が賃金上昇率を上回り実質所得は伸び悩み
〇住宅ローン金利の急上昇により住宅需要は落ち込み、個人消費全般にマイナスの影響を与えつつある
〇米国FRBは物価抑制のため22年以来利上げを継続→景気動向指数等は低下し始めており、金利引き上げは最終局面か
中国
〇内需中心に景気回復が期待されていたが実現せず。輸出にも停滞感
〇これまで5%程度の経済成長率が期待されいたものの、今後10年間のうちに3%程度への下落が見込まれ今後の経済運営には厳しさが増すとの観測
4.(株)第一生命経済研究所各国経済見通し
<単位;%、5月作成、カッコ内は前回(2月)予測値>
2023 2024
米国 +1.2(+0.9) +1.1
ユーロ圏 +0.8 (+0.8) +1.1
日本(年度) +1.0 (+0.9) +1.3
インド(年度) +5.8(+5.6) +6.2
中国 +5.5 (+5.3) +5.0
以上