2013年1月28日にスタートしました弊社の経済セミナー・嶌峰会(3か月ごと)は今回で50回を迎えました。講師は第一生命経済研究所シニア・フェロー嶌峰義清先生です。50回の講演すべて連投していただいています。高市政権になって初めてのセミナー、日中関係、責任ある積極財政の行方を考える絶好のタイミングとなりました。
以下要旨です。
1.グローバル経済動向
〇世界を震撼させたトランプ関税発動後も経済の基調トレンドは不変。主要国(日米欧)の企業景況感は一進一退で、低迷する製造業を堅調な非製造業が補う傾向
〇堅調な非製造業の要因はソフトウェア購入とITサービス導入を中心とした情報通信関連投資
〇主要経済圏では中国経済の低迷が顕著
2.各エリア別景況感
米国
〇雇用情勢は停滞の一方でトランプ関税の影響で物価上昇が加速
〇住宅市場:6.5%もの高い住宅ローン金利により状況は悪化したまま推移
〇個人消費:消費者心理は落ち込みつつも好調な株式市場がもたらす資産効果が下支え
〇金融政策:現状は景気抑制レベル(3.625%)にあるが、今月及び26年1月のFOMCでの2回0.5%の利下げにより景気中立ゾーン入り(2.5-3.5%)との見通し
日本
〇企業景況感:米国向け輸出は関税確定により若干持ち直し、物価上昇のため大企業景況感は良好で非製造業はバブル崩壊以来の高水準。
〇個人消費:実質賃金低迷の中、株高が消費のサポート要因か?消費者物価高騰の要因は食料品価格上昇であり、円安への歯止めがこれの抑制策
〇インバウンド消費:訪日外人消費額の約30%を占める中国人消費は日中関係悪化による減少が予想されマイナス影響の虞れ
中国
〇若年層の高失業率は続き、悪化が止まらない不動産市況と相まって不況深刻化
〇かかる状況下消費は失速、輸出は対米向けの落ち込みを他地域向けで埋めるのが精一杯
〇成長率5%の国家目標に対し内需不足から設備投資拡大策へ→需給ギャップの拡大からデフレ圧力上昇→輸出に活路を見出すべく対ASEAN向けが増加
欧州
〇消費の勢いは一服感、物価上昇率はECB目標の2%付近に落ち着く
〇ECB政策金利は2%と中立レベルにあり、引締め・緩和のいずれにもフリーハンド
3.中国の対外政策
〇対立が生じると相手の弱点を突いた経済制裁を実施
〇国内人権及び台湾問題にセンシティブ
他国に発動した経済制裁例
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相手国 |
契機 |
中国のアクション |
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日本 |
尖閣諸島侵入問題 |
レアアース全面禁輸、日本企業への諸手続き厳格化、製品不買運動等 |
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ノルウェイ |
ノーベル平和賞 |
水産物輸入停止、渡航制限、FTA交渉停止 |
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フィリピン |
南シナ海領土問題 |
農産物輸入制限、荷揚げ遅延 |
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韓国 |
ミサイル配備 |
団体旅行解禁凍結、ドラマ放映禁止、不買運動 |
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モンゴル |
ダライ・ラマ訪問 |
経済支援凍結、貿易制限・手続き厳格化 |
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カナダ |
ファーウェイ幹部逮捕 |
農産物等輸入制限、渡航制限 |
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豪州 |
コロナウィルス調査要求 |
第一次産品、ワイン等輸入停止 |
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リトアニア |
台湾代表処設置 |
貿易全面停止、金融取引禁止 |
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米国 |
トランプ関税 |
関税引上げ、大豆輸入停止、レアアース輸出規制強化 |
〇日本のウィークポイント:高依存度の貿易関係;輸入面に弱み
対中依存度の高い品目
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順位 |
輸出品 ウェイト |
輸入品 ウェイト |
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1 |
半導体製造装置 38.6% |
PC&関連品 98.8% |
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2 |
合成樹脂 34.7% |
落花生・豆類 82.4% |
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3 |
半導体等集積回路 33.4% |
リチウムイオン電池・部材 81.2% |
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4 |
精密機器部品 32.0% |
野菜(ニンニク等) 78.5% |
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5 |
半導体素子 31.2% |
衣類等 73.4% |
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6 |
CP&部品 29.1% |
レアアース 70.3% |
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7 |
圧縮機 27.5% |
電子部品・」PC周辺機器 68.5% |
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8 |
変圧器・電源装置 25.8% |
小型家電 65.7% |
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9 |
銅製品 23.6% |
自動車用電線・ワイヤハーネス 59.1% |
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10 |
自動車部品 17.4% |
缶詰等加工食品 52.4% |
4. 日米金融市場見通し
米国
〇景気の方向性が不明瞭なことから長期金利は方向感を喪失
〇株式市場:金利低下&堅調な景気の楽観論が株価をサポート
⇒割高感はあるものの上昇トレンド継続
日本
〇長期金利:財政悪化懸念及び円安進行に伴う物価上昇懸念が金利押上げ要因
〇株式市場:急激な株価上昇ペースは一旦休止か?来期の増益基調がはっきりすれば5万円台の日経平均株価も正当化か
○為替市場(ドル円相場)
☆短期:日米金利差は当面は縮小過程にあるもののドル円相場へは反映されず、むしろ日本の財政悪化が材料視されている局面
☆長期;US$=JPY360円→75円の円高トレンドは終了し、今後は円安トレンドか
5.各国経済成長率見通し
<出所(株)第一生命経済研究所 11月作成 単位;%、>
2024 2025 2026
米国 +2.8 +1.6 +1.7
ユーロ圏 +0.9 +1.0 +1.0
日本(年度) +0.8 +0.6 +0.7
インド(年度) +6.2 +6.0 +6.3
中国 +5.0 +5.1 +4.1
以上


