日曜相談 自分で根性焼き…後悔できる日は来ますか | シンデレラマジックs01のブログ

日曜相談 自分で根性焼き…後悔できる日は来ますか

【相談】
私は20歳で摂食障害(拒食症)と診断され、初めて気持ちが楽になりました。つらかった日々が、医者によって証明されたから。いくら言葉で「つらい」と言っても身体的には健康なので、本当に心から楽になれました。
今は鬱病で、薬も5種類飲んでいます。ただ、精神障害にしろ、身体的病気にしろ、周りの人から心配されるのは初めだけ。たいていは数カ月続くと私から離れていきます。
私は孤独でも生きていくために根性焼き(たばこなどを手首などの皮膚に押し当て、やけど痕を作る)をしています。根性焼きで心を落ち着かせています。
ただ、傷痕がとてもひどい。リストカットではつらさは伝わらない。だから根性焼きをしています。きっと、このやけどの痕は一生消えません。でも、後悔していないんです。後悔したときこそ、私は精神障害を克服した瞬間だと思います。この傷痕を後悔できる日がいつか訪れますか。(京都府 20代女性)
【回答】
息詰まる日々ですね。リストカットごときでは到底伝わらず、すぐに周りから顧みられなくなるあなたのつらさを、他の誰かに表明するため根性焼きをやる。根性焼きが、あなたが当面生きていくための手段、そして目的にまでなってしまっている。このような生き方は「注目依存症」とでもいうべきもので、エンドレスになる懸念があります。
今のあなたにとって、体は自らの存在を証すための道具でしかありません。また、他者からのまなざしは、あなたが苦悶の表情を浮かべ、歯を食いしばることと引き換えに、もたらされる報酬です。そしてあなたの人生は、その刹那に引き寄せた他者のまなざしのみによって構成される歪(いびつ)なモザイクで、そこには連続性がありません。
すなわち、自分の体・他者からのまなざし、そして自分の人生、それらすべてをあなたが支配し操作することを強く志向しているように思えてならないのです。そして、その態度は、人生に対する諦(てい)念(ねん)、他者に対する根深い不信と表裏を成すものです。もし、他者の気を引き続けるため限界ギリギリのことをやり続けるならば、いずれ落命の危険があります。
本当は、人生どころか自分の体さえ不如意なものなのです。それを許容できなくては摂食障害は治りません。摂食障害は支配幻想の病だからです。私は、あなたとあなたのひどい仕打ちに振り回されてきた体がふびんでなりません。
あなたにもぜひ気づいてほしい。実は「あなたは、あなたの体により生かされている」ということを。自らの体を慈しむことができ、支配の必要性が薄らげば、全てが氷解します。あなたの言う後悔が大きなものとなり過ぎる前に、このような気づきが一刻も早く芽生えることを祈念しています。
■回答者・熊木徹夫
精神科医。42歳。「あいち熊木クリニック」院長。著書に『精神科医になる~患者を(わかる)ということ~』など。
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