<政策推進指針>復興と成長戦略、困難な「二正面作戦」
政府は17日閣議決定した「政策推進指針」に基づき、東日本大震災で打撃を受けた日本経済の再生に向けた成長戦略を練り直す。ただ、福島第1原発事故の収束と被災地の復旧・復興と同時に、環太平洋パートナーシップ協定(TPP)による貿易自由化や新エネルギー戦略策定など長期的な課題に取り組む“二正面作戦”はハードルが高い。菅直人政権の求心力が低下する中、経済界は「経済改革にまで取り組めるのか」(財界団体幹部)と不安視する。【野原大輔、竹地広憲】
「(アジア太平洋経済協力会議=APEC=首脳会議が開かれる)今年11月までに(TPP参加の)日本の態度を決めないといけない」(与謝野馨経済財政担当相)。「国を開く方針は守る」(海江田万里経済産業相)。「政策推進指針」を決めた閣議後の会見で、経済閣僚はTPP参加による貿易拡大で日本経済の浮揚を目指す考えに変わりがないことを強調した。
対照的に、鹿野道彦農相は「農林漁業の復旧復興に全力を尽くすことが最優先」と、TPPに慎重な姿勢を見せた。すべての品目の関税撤廃が原則のTPP参加決定には、安価な輸入品流入の影響を受ける国内農業の強化が不可欠。このため、政府は「食と農林漁業の再生実現会議」で対応を検討してきた。
しかし、再生の柱と期待した農産物の輸出促進は、福島第1原発の放射性物質漏えい事故の風評被害などで難しくなった。また、復興財源確保が迫られる中、地域農業立て直しのテコにしようと考えた農家への戸別所得補償の拡大もままならない状況だ。
一方で、米国などTPP参加9カ国は11月のAPEC首脳会議までの大筋合意を目指しルール作りを加速させている。日本は震災前までコメなどを例外扱いする方向で参加の道を探ってきたが、「6月まで」としてきた参加の可否の決定を先延ばししたことは大きな痛手。米オバマ政権は「(日本の参加が遅れた場合)難しい交渉になる」(トンAPEC担当大使)と明言する。
韓国が米国や欧州連合(EU)と自由貿易協定(FTA)を締結しており、TPPにも乗り遅れれば、日本の輸出産業は大きな不利を被る。このため、経済界からは今回の菅政権の決定に「問題の先送りにすぎず、極めて遺憾」(長谷川閑史経済同友会代表幹事)と失望の声も出ている。
一方、福島第1原発事故を受けたエネルギー政策見直しは、電力の安定供給と経済性、温暖化対策を満たす連立方程式の解を見いだすのが難作業だ。原発の新増設停滞が不可避な中、菅首相は太陽光や風力などの再生可能エネルギーの普及方針を掲げる。しかし、原発を代替するにはコスト高解消や出力の安定化など「いくつもの技術革新が必要」(経産省幹部)だ。このため、短期的には火力に頼らざるを得ず、国は原油よりコスト安で温室効果ガス排出も少ない液化天然ガス(LNG)の比重を高める考えだ。それでも、温室効果ガスの排出量を90年比25%削減する国際公約達成は難しい。
新成長戦略の目玉だった原発輸出も当面、凍結せざるを得ない状況だ。政府は原発メーカーや東電との官民連合でアジアなどへの売り込みをしてきたが「福島原発事故で状況は一変」(経産省幹部)。海外では原発新設プロジェクトが中止されるケースも出ている。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110517-00000150-mai-bus_all
「(アジア太平洋経済協力会議=APEC=首脳会議が開かれる)今年11月までに(TPP参加の)日本の態度を決めないといけない」(与謝野馨経済財政担当相)。「国を開く方針は守る」(海江田万里経済産業相)。「政策推進指針」を決めた閣議後の会見で、経済閣僚はTPP参加による貿易拡大で日本経済の浮揚を目指す考えに変わりがないことを強調した。
対照的に、鹿野道彦農相は「農林漁業の復旧復興に全力を尽くすことが最優先」と、TPPに慎重な姿勢を見せた。すべての品目の関税撤廃が原則のTPP参加決定には、安価な輸入品流入の影響を受ける国内農業の強化が不可欠。このため、政府は「食と農林漁業の再生実現会議」で対応を検討してきた。
しかし、再生の柱と期待した農産物の輸出促進は、福島第1原発の放射性物質漏えい事故の風評被害などで難しくなった。また、復興財源確保が迫られる中、地域農業立て直しのテコにしようと考えた農家への戸別所得補償の拡大もままならない状況だ。
一方で、米国などTPP参加9カ国は11月のAPEC首脳会議までの大筋合意を目指しルール作りを加速させている。日本は震災前までコメなどを例外扱いする方向で参加の道を探ってきたが、「6月まで」としてきた参加の可否の決定を先延ばししたことは大きな痛手。米オバマ政権は「(日本の参加が遅れた場合)難しい交渉になる」(トンAPEC担当大使)と明言する。
韓国が米国や欧州連合(EU)と自由貿易協定(FTA)を締結しており、TPPにも乗り遅れれば、日本の輸出産業は大きな不利を被る。このため、経済界からは今回の菅政権の決定に「問題の先送りにすぎず、極めて遺憾」(長谷川閑史経済同友会代表幹事)と失望の声も出ている。
一方、福島第1原発事故を受けたエネルギー政策見直しは、電力の安定供給と経済性、温暖化対策を満たす連立方程式の解を見いだすのが難作業だ。原発の新増設停滞が不可避な中、菅首相は太陽光や風力などの再生可能エネルギーの普及方針を掲げる。しかし、原発を代替するにはコスト高解消や出力の安定化など「いくつもの技術革新が必要」(経産省幹部)だ。このため、短期的には火力に頼らざるを得ず、国は原油よりコスト安で温室効果ガス排出も少ない液化天然ガス(LNG)の比重を高める考えだ。それでも、温室効果ガスの排出量を90年比25%削減する国際公約達成は難しい。
新成長戦略の目玉だった原発輸出も当面、凍結せざるを得ない状況だ。政府は原発メーカーや東電との官民連合でアジアなどへの売り込みをしてきたが「福島原発事故で状況は一変」(経産省幹部)。海外では原発新設プロジェクトが中止されるケースも出ている。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110517-00000150-mai-bus_all