つい昨日まで傍にいた文字達は部屋の何処かに隠れてしまったようだった。部屋中をグルグルと歩き回っても文字達は一向に姿を見せなかった。
――もう好きにしなさい。
半ば諦めかけて泥だらけの彼の靴を洗うことに専念した。
それからと言うもの、靴を干してみても、お湯を沸かしてみても、ノラ・ジョーンズを口ずさんでみてもダメだった。
完全に文字達は姿を見せない。
暫く頬杖を付きながら画面と睨めっこを続けていた。刻々と時間だけが過ぎていった。
私がガクリとうな垂れる度に、文字達は遠くからチラチラとからこちらを窺っているようだった。
――隠れてないで出てくれば良いのに。
気まぐれな文字達は姿を表すまで放置しておくことに決め,、パソコンを閉じた。
小雨の中、私はのんびりと図書館へ向かった。