どちらが現実でどちらが夢なのかは分かっていた。
 秋の気配を含んだ風と押しボタン式の信号機。容赦なく毒の付いた刃を突き刺すように、発される言葉。
 心が折れそうになって軋む音がした。
 この旅が終わったら、この苦しい時間が終わったら、遠くに逃げてしまいたいと思った。誰にも邪魔されない場所に。
 今の私には泣く場所すら与えてもらえない。