1995年、僕はバンドのメンバーを探していた。
雑誌のメン募経由でギタリストHZKを紹介してもらい意気投合、その後メン募でベーシストKYと出会い、未来への期待を抱く日々を過ごしていた。
ギタリスト志望のHDとは、普段行かない場所で、普段使わない電車で行き待ち合わせたような曖昧な記憶。
黒髪の中途半端な長さのメガネを掛けたHDは第一印象で断る予定だった。当時、東北地方から上京したばかりで、先輩の家に居候していて電話も先輩の家の電話で、今となれば家も借りずに上京するなんて本気度が違うと理解出来るのだが、当時は色々不安だらけだった。
バンドの方向性も被る部分はあるものの、僕らが好む黒服コテコテよりも、所謂ソフビ系を好む感じもちょっと違うかなと感じた。そして何より、HDは人見知り過ぎて挙動が不審だったw
喫茶店を出る前にHDがトイレに行った際に、僕はHZKを見るとHZKは首を横に振った。口数が少ないKYも苦笑いだったので、思いは一緒だと確信して、「また改めて連絡します」と伝えて別れた。
僕らは完全にもう一人のギタリストを探す方向でいたのだが、その日の夜にHZKから電話があり「HDのテープ聴いた?」と言われ、彼が作曲したカセットテープ渡されたことを思い出した。
HZKがとにかく一度聴いてから折り返し電話欲しいと言うので、僕はカバンの中から探したHDからもらったカセットテープを再生した。
ドラムの打ち込みにベースもギターも乗っててボーカルなしのテイクとHDが仮歌を乗せたテイクが録音されてたのだが、余りのカッコ良さに衝撃を受けた。
すぐにHZKに電話すると「あの曲ライブでやりたくね?めっちゃ良い曲じゃん!」、僕も同感だった。
すぐにKYにも電話すると、僕と同じくHZKからの電話でテープ聴いてバンドメンバーとしてHDを迎えたい思いを伝えられた。
HDに電話して「一緒にバンドやりませんか?曲がカッコよすぎて!」
運命とはこんな感じで訪れるのか。僕らのバンドの二人目のギタリストが見つかった。バンド始動まであとはボーカリストのみ。遠過ぎた未来が急に目の前に現れた。期待しかない日々の中、僕らは未だ見ぬ景色を色鮮やかに縁取った。
ちなみに、この曲は1stライブから解散ライブまで必ず演奏した曲。僕らの未来を変えた1曲だった。
HDの仮ボーカルメロディはある有名バンドと似通っていた為w、何とかボーカルメロディをと考えていたのだが、ある時電車を降りて駅から家まで歩く道のりで、WALKMANで聴いていたカラオケテイクで歌メロが浮かんだ。
よく言われる"降りて来た"とはこんな感じなのか。歌詞のイメージも完璧に浮かんだ。忘れないように公衆電話から家の留守電に吹き込んだ。その後、僕が歌詞を完成させバンドの大切な1曲となった。