もし、自分の家の中に呪物があったとしたら…

私はそんなこと、考えたこともありませんでした。
でも、去年のはじめ——。

 

主人の出張に便乗して日本に帰り、

仕事が済んでからは二人で観光三昧。

今回は、高校生の時に何度も行った原宿へ。

 

フラッと入った小さなお土産屋さんで、

狭い通路にぎっしり並べられたTシャツを見ていると、

一枚のティシャツに主人の目が止まりました。

墓石レベルの重圧感、緑色・極太の毛筆体、でっかい縦書きで

「社畜」

 

「これ俺のことだ!」とゲラゲラ笑いながら、

迷わず購入する主人に「そうなんですか~、お疲れ様です」と

菩薩のような笑顔の店員さん。

 

それ以来、主人は週末にそのTシャツをいつも着用。

畳もうとすると必ず視界に入ってくる「社畜」Tシャツ。
ほかの洗濯物が、うつむいて見えるほどの威圧感。

 

ただでさえ忙しい主人の仕事が

ここ1年ほどはさらに忙しくなってきていました。

加えて庭仕事で負ったケガが何か月も長引いて、

ストレスで眠れなくなるほどでした。

 

そんなことが続いたある日、「もしかして…」と思い、

「社畜」Tシャツを主人の引き出しから取り出して、

彼が手に取らないような場所へそっと移動(隠して)みると、

なんと、次の日に会社から帰ってきた主人が

「プロジェクトが一つキャンセルになった」と言うのです。

そして、「ホッとして肩が軽くなった」とも。

 

この一件が「社畜」Tシャツのせいだったと断定はできません。

ですが、100%そうではない、とも言いきれず。

 

タグを見ると「Made in ○○」。
誰が作ったのかと思うと、ますます怖い。

 

お土産ティシャツ、恐るべし。

次に買うときは、呪いではなく、

ご利益のありそうなやつを探そうと思います。