「EMTG MUSIC」ライブレポート | 非公式ファンモンブログ

「EMTG MUSIC」ライブレポート

FUNKY MONKEY BABYS

FUNKY MONKEY BABYS 「ファンモンブログ」(動画、画像、歌詞、新曲、PV、ライブ)

 開演から3時間が経過していた。
初秋の風が、火照った頬をなでていく。宵闇の中、眩い照明で光り輝く横浜スタジアム。そのステージ上には、汗まみれのファンキー加藤、モン吉、DJケミカルの笑顔があった。アンコールも含み、全23曲。“おまえ達との道”を、大観衆とともに完走したFUNKY MONKEY BABYSの3人に、3万人の観衆から、様々な感謝の言葉が送られる。アリーナから「ありがとー!」と絶叫した男性客。その声に、ステージ上のケミカルは、直立不動になりながら、こう反応した。

「はい、こちらこそ!」
 会場の爆笑が、拍手に変わる。笑顔のまま泣き出す女の子の顔も見えた。スタジアムのあちこちから、一斉に「ありがとう!」の声がかかる。その声は、あっと言う間にひとつの塊になり、大歓声となった。彼らと観客の関係性がわかる瞬間だった。この光景は、デビュー以降、約7年間かけ、メンバーと観客が、共に作りあげたものだ。まさに、FUNKY MONKEY BABYSのライヴならではの絶景であった。

 17時30分。快晴の横浜スタジアム。初秋を感じさせる高い青空に、刷毛で白い絵の具を刷いたような雲が広がっている。9月8日&9日と、2日間に渡り、横浜スタジアムで開催された「おまえ達との道~in横浜スタジアム~」。その2日目も、前日に引き続きお天気に恵まれた。時折、浜からの風が心地よい、最高のシチュエーションの中、2日目のライヴが幕を上げた。

 バイクの排気音。パトカーのサイレン。旋回する赤いライト。警察と “浜の走り屋達”のチェイスをイメージさせる演出か。ステージ上の巨大なスクリーンに映像に浮かぶ文字。「親を泣かせ 女を泣かせ……」と、任侠映画ライクなフレーズに、客席がざわめく。さらに言葉が続く。「……されどいこうぞ いばらの道を それが俺とおまえ達との道」。アップになった主人公は、白い特攻服に身を包み、リーゼントのカツラを被ったDJケミカル。BGMは、誰もが知るマフィア映画のあの曲だ。ステージ上に、生・DJケミカル登場。ステージを勢い良く降りるケミカル総長。仮面ライダーバイク風(?)にカスタマイズした自転車で、客席、アリーナに走り出た。そのままアリーナを一周。絶叫する大観衆。3万人の興奮が、猛スピードで高い空に掛け登っていく。ファンモンライヴの恒例、DJケミカルのオープニング・サプライズ。この日、エンターテイメント性というポイントにおいては、わかりやすさも含めて、ファンモン史上、屈指の出来栄えだった。もちろん腹の底から、笑いましたとも!
FUNKY MONKEY BABYS 「ファンモンブログ」(動画、画像、歌詞、新曲、PV、ライブ)
ステージに戻ったDJケミカルが叫ぶ。「このモノ好きどもーっ! いくぞ! FUNKY MONKY BABYSだぁああああ!」大音量でトラックが鳴り響き、ファンキー加藤とモン吉が、広いステージに全力疾走で突進する。1曲目を飾ったのは「ナツミ」。意外な選曲に喜ぶ大観衆。サビでは、3万人が、ステージ上のメンバーと一緒に、両手を何度も空に伸ばした。ここから5曲目までの最初のブロックは、最新シングル「LIFE IS PARTY」などのアッパーなパーティー・チューンと「真夏のマジック」など、夏を思わせるアップ・チューンで構成。観客を、しっかりとお祭り&野外モードにロックオンした。
 ファンキー加藤のMC。「横浜、ありがとう。とにかくステージが広い!」と挨拶した後「ファンモン史上、初のサブステージを準備しています。今から移動します」と宣言。ファンキー加藤はリリーフカーに乗りステージ下手側から、モン吉&DJケミカルも、リリーフカーに乗り、逆側から、アリーナ最後部の中央に設置されたサブステージに移動した。リリーフカーと一緒に、観客の歓声と拍手も、サブステージに移動していく。

 サブステージに到着。ファンキー加藤の「おい! 最前列! テンション下げてんじゃねーぞ!」というひとことに、この日、何度目かの大爆笑が起こる。「360℃がお客さんって、経験したことない」と言いながらも、1人1人を見つめるように、ミディアムチューン「大丈夫だよ」を披露。こまめに体の向きを変え、サブステージ上をゆっくりと周るように歌うパフォーマンスに、彼らの音楽の原点を観た気がした。「夏の終わりに」。イントロのギターに合わせ、DJケミカルがギターを弾くジェスチャー。そのジェスチャーを真似する、ちびっこBABYSの姿が見える。「次の曲は、たぶん皆、歌えるんじゃないかと思うから、大合唱してください」と「告白」へ。ファンキー加藤は歌いながら、手を振る観客を指さし、手を振り返すという仕草を、曲が終わるまで繰り返した。
メンバーは、再びメイン・ステージへ。「ALWAYS」では、ライヴタイトルが記されたメタルテープが、夕暮れの空に弧を描いた。軽快な「恋の片道切符」の後は、ステージが照明で真っ赤に染まり「がむしゃらBOY」へ。レゲトンのリズムで押し切るドープなナンバー。ファンキー加藤&モン吉の、ラップのフロウ&パフォーマンスもみせどころだ。この曲で、モン吉は、巻き舌口調をフックにしたディープなフロウを決めた。切ない顔でバラードを歌ったと思ったら、クールでアンダーグラウンドな一面を見せる。この、いい意味での変わり身の早さ、メリハリは、彼らが7年かけて培ってきた、ファンモンライヴの大きな魅力だろう。7年間で作った楽曲数も、ひとつのインフラになっているが、しかし最たる要因は、曲をライヴで再現する時に、どうすればいちばん魅力的に伝える事ができるかを、試行錯誤しながら体現し続けてきたから、そしてその中で、課題をひとつひとつ、クリアしてきたからではなかろうか。
ファンキー加藤がマイクをとる。客席をぐるりと見回し「夢の中にいるみたいです。ありがとうございます」と気持ちを伝えた後、話は、横浜に関するエピソードへ。デビュー前、横浜のクラブで頻繁にライヴをしていた彼ら。早朝、その帰り道、朝日に照らされる横浜スタジアムの影が、いつも見えていたと言う。当時、音楽を生業にしたいという野望はあったが、横浜スタジアムでライヴをするなど、まったく想像できなかった、と。さらには「今だにどうして、こんなにたくさんの人に支持されているのかわからない」と、正直すぎる本音も吐露。この鮮烈な言葉に、客席には少しシリアスなムードが漂ったが、この反応を敏感に受け止め、ファンキー加藤はこう締めくくった。
FUNKY MONKEY BABYS 「ファンモンブログ」(動画、画像、歌詞、新曲、PV、ライブ)

「でも今は……お互いに(=自分達&観客)励まし合える、世界一、お互いに、勇気がもらえるライヴだと思ってます」
力強いバラード「涙」へ。曲のサビ頭、 ♪こぼれ落ちるその涙が いつでも君の背中を押してる♪ というワンフレーズに合わせて、ステージ後方の巨大なスクリーンには、観客の背中が映った。
16曲目からは、本編最後のブロック。ストレートなビートが特徴の、アッパー・チューンが続く。「悲しみなんて笑い飛ばせ」では、横浜の夜空に、何発も花火があがった。曲の頭、曲中、ラストと、何度も打ち上げられた、色とりどりの花火。曲のブレイクや変わり目に合わせた打ち上げタイミングは、感動するほどにドンピシャで、ライヴ・スタッフの気合いを感じずにはいられなかった。また、メッセージ色が濃厚な歌詞の曲が連なったのも、このブロックの見せどころになった。ファンキー加藤の拳が、モン吉の腕が、DJケミカルの両手が、何度も何度も、夜空に突き上げられた。

 アンコール。歌詞もドギツイ(エロという意味で)お祭りチューン「勝負パンツ」で、観客を乱舞させた後、「小さなお子さん連れのお父さん、お母さん「勝負パンツ」(を演奏して)ごめんなさい。少子化対策の歌とか、うまく濁してくださいよ~」と、茶目っ気たっぷりにフォローしたファンキー加藤。和んだ客席に、改めて向き直る3人。そして、モン吉、DJケミカル、ファンキー加藤の順番で、感謝の気持ちを言葉にした。それぞれ、ダイジェストで紹介しよう。
「BABYSの方々も、まだBABYSじゃないお初の方も、ありがとうございます。ほんと、ここに来るだけで、すごいパワーがいると思う。本当にありがとうございます。これからもよろしく~」(モン吉)
「スタッフも、皆さんも、いつも僕たちを支えてくれる人達がたくさんいて……だから今日は、皆さん、自分の心に拍手してあげてください! これからも全力でがんばって行きます。これからも私達を全力でバックアップしてください、よろしくお願いします」(DJケミカル)
「今日は本当にどうもありがとうございます。どう感謝の気持ちを伝えたらいいか、わからなくなる。ありがとうって言葉も軽く感じて、届いてないんじゃないかと思ってて……。だからとにかく、皆の心に、歌声を全部届けました。今日も、もう精一杯です。120%出しました。もうこれ以上ないです。ごめんなさい(会場笑)。9月9日、俺達3人から、3万人の皆さん、1人1人に向けて、今のおれたちの心情にぴったりな歌を歌いたいと思います」(ファンキー加藤)
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 ファンキー加藤のこの言葉を受け、会場に響いたのは「大切」。スクリーンには、充実感に満ちた表情をした、メンバー3人の顔が映し出された。

 最後は、「ヒーロー」「Lovin’ Life」と、彼らの歴史の中で、大きな分岐点となった2曲を熱唱し、FUNKY MONKEY BABYS史上初のスタジアムライヴ、最大規模のお祭りは、幕を閉じた。

 時刻は21時を過ぎていた。肌をクールダウンする風が、秋がすぐそこまで来ている事を告げていた。 祭りは終わった。宴の終わりに侘しさを感じ、淋しくなったりするのは、日本人の常。しかしながらこの日、横浜スタジアムを後にするBABYS達の顔に、侘しさや淋しさは浮かんでいなかった。上気した顔の視線を追って見る。その先には、ファンモンの次なるツアーを告げる、手作りのポスターがあった。

 2013年、年明けから全国アリーナツアー「WE ARE FUNKY MONKEY BABYS TOUR」がスタートするFUNKY MONKEY BABYS。

 観客と共に築いて来た“道”を、3人は、ペースを緩めず、どんどん突き進んで行くようだ。
何があっても、前へ、前へ。前のめりになりながら、進め、進め、ファンモン! その先には“次”が、必ず待っている。必ず次がある事を、彼らは身を持って知っている。
だからきっと、ファンモンは、これからも、強い。

http://music.emtg.jp/liveReport/201209017697eb7ea

【取材・文:伊藤亜希】
【撮影:駒井友香】
【撮影:平野哲郎】