畳にインクをこぼした時は。 | おもしろ畳!?

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一般的な畳ではなく、へーっ!と思えるちょっと変わった畳や、私が参加しているイベントやちょっとした情報や近況報告、畳材料で作った小物をアップしております。
また、変な駄作もアップできればと思います。

畳にインクをこぼした時は
牛乳で湿らせて拭き取る。
又はレモン汁で湿らせた後、塩素酸ソーダを10倍に薄めた液で拭く。
と10年前にホームページを作ったに手元に有った資料を
載せておりました。
しかし、
どんなインク??

当時の資料は、多分ペンのインクだと思います。(憶測)
ですが、現在インクと言うとインクジェットプリンターのインクだと思います。
各家庭に1つは有るのではないかというくらいではないでしょうか。

それはさておき、
先日、プリンターのインクを畳にこぼしたので、
いい方法を教えてほしいとS様から連絡をいただきました。

ですが、そのような経験の無い私が、
お客様の畳いい加減な事は言えません。
ですが、困っているのでしたら考えられる方法を
お伝えしました。
当然度合いによりシミが出来る事、
効果がないかもという事もお伝えしました。

1、中性洗剤などを使って色を落とす
2、漂白剤やオキシフルで漂白してしまう。
3、アルコールで表面の色を下に流す

そうしたらです。

連絡を下さったS様
ご自身のインクのシミを消す作業と、
私が考えた方法を実験して下さいました。
本来私達畳屋が実験してお客様に提供する情報なのにです。

S様ありがとうございます。

ここからS様の行なった事を書きます多少文章を直した所も有りますので、
ご了承下さい。

中学生の頃、技術工芸の授業で「畳は呼吸している」と教わったことを思い出し
畳は水分や空気を透したり調整したりする機能があるということ、
その機能をを利用することで
インクを取り出すことができるのではないかと考え行なって下さいました。

作業方法は、
単純ですが根気のいる作業になります。

インクをこぼした直後はキッチンタオルやティシュペーパーなどで、
手元に在る物で、兎に角インクを吸い取ります。

次に

1.ティッシュペーパーを1.2枚、
  水でぬらして畳の色のついている部分に約5
  秒程度押し当てます。
  (水をい草に染み込ませます。)

2.乾いたティッシュペーパーを1.2枚、
  5秒程度押し当てます。
  (水と一緒にインクを吸い出します。)

この作業を繰り返し行ないます。
畳に指圧をしているような感じです。

徐々に取り出せるインクの量は少なくなっていきます。

メールを頂いた時点でいくらかインクの色は薄くなっていましたが、
御提案の方法を試してみました。

その結果

1.洗剤を使用してみました。
  ティッシュの汚れ(インクの取り出し量)は少し増えましたがあまり大きな変化
  はみられませんでした。

2.漂白剤(キッチンハイター)を使用してみました。
  最初は綿棒に漂白剤をしみこませて使いました。
  効果があるように思いましたので
  畳に直接ひと吹きかけてみました。
  ティッシュの汚れ(インクの取り出し量)は少し増えましたが、
  しばらくして畳の被害範囲は最初の2倍程度に広がってしまいました。
  畳の中に固まっていたインクが溶け出して広がったのではないかと思います。

3.アルコール(キッチン除菌用)を使用してみました。
  あまり大きな変化はみられませんでした。

S様の結論としましては、
時間がかかっても畳に合わせた自然な方法が畳のためにもよ
いのではないかと思います。

結果として、
プリンターのインクの場合は、
インクの種類にもよるのかもしれませんが、
洗剤、漂白剤、よりも

時間はかかるが、
い草に水を染み込ませ、
水分と一緒にインクを吸い取る方法が一番無難な方法という事になりそうです。
しかし、
水の種類(水道水、ミネラルウォーター、アルカリイオン水、雨水、蒸留水、水蒸気)
水の温度、指圧時間や力加減。
また、
インクの種類やこぼした状況、時間的経過、こぼしてからの処置の状況により
対応の仕方も
変える必要があるかも知れません。

現在は、妥協出来る程度になったので、良しとしているそうです。

そして、私のお伝えした
薬品での方法も
洗剤ーーー種類や濃度、作業時間
漂白剤ーー種類や濃度、作業時間
アルコールは、キッチン用の物と、傷口消毒用の物と作業時間
により、
違う結果(良い、変わらない、悪い)
になる事も未だ未だ考えられると思います。


ですので、

やり方により、同じ様な結果にならない事、
やりすぎると
取り返しがつかない事も十分考えられます。

色の付いた物が畳表に付いた場合、
それを元通りに出来るでは無く、
目立たなくする。出来るかも、
という程度に思って頂けると良いと思います。