連載小説更新しました。
よろしくお願いします。
いよいよ、今日からプロ野球ファイナルステージ。ヤクルト巨人戦です。
わが巨人、優勝はできませんでしたが、日本シリーズには絶対でてほしい
内海投手には、レギュラーシーズン活躍できなかったうさばらしをここで存分に晴らしてほしいものです!!


 ひょうまは、いよいよみずうみのほとりホテルを引き払い、あきこと生活することに。
 住居も決まり、みずうみのほとりホテルから新居に直行する予定。
 いいというのに、あきこが迎えにやってきた。
 あきことの生活は、頭ではあきこの望みなのだからと、かつ、鼻形と別れさせることになってしまった罪悪感も手伝って、そうしてやるべきだとは思っている。
 鼻形が、ひょうまの真の離婚理由を隠す条件にもされているし。
 頭ではわかっている、あきこを家族としては愛している、しかし、一緒に暮らすのは、どうしても、「気」が進まない。
 ひとつには、こうやってひょうまに干渉してくる点。
 亡き恋人を思い続け、現実の幸せを手放す、なんてかわいそうな弟なんだろうと思っているに違いない。
「私が鼻形と別れたことは本当に気にしなくていいのよ」
 何度もあきこに言われた。
「本当は、わたしは、ひょうまが一番大事なんだから・・・」
 確かに、あきこは姉であるが、母親代わりでもあった。
(みーなへのこだわりから脱却できてよかった・・・)
 本当にまだ亡きみーなを思っているなら、あきこに巻き込まれていってしまうかもしれないし、なんだか、深いふちにずぶずぶ二人で落ちていきそうな気がしたから。
 亡きみーなのことはもういい、かつ、今はおきゅうの気持ちも確認できているのが救い、だから、ひょうまは、あきこにも優しく接しようと思うのだけど・・・。

 そんなとき、なんと、城戸涼介に声をかけられる。
 心の準備が全くできてなくて、心臓が早鐘のように鳴り響き、言葉が出ない。
 しかも、有坂咲を伴っている城戸。
(ああ、きゅう子さんが言うように、咲さんのオヤジさんのカウンセリングはうまくいったんだな)
 城戸の表情は晴れ晴れとしていて、今のひょうまとは対照的だ。
 やっと2人で一緒に過ごせるのか。
 親として何もしてやれない・・・関われない・・・自ら決めたことなのだが、ひょうまにできることは
「よ・・・よかった・・・楽しい時間を過ごしてください」
 堅苦しい敬語で返事、これがせいぜい。
「まあ、城戸先生、お久しぶりでございます」
 華やかな声のあきこ。
 あきこもひょうまと暮らせる喜びで、城戸と同じような位置にいるのだろう。
「これから、わたしたちも新居に向かうんですよ。先生、いろいろあったので・・・またひょうまのことをよろしくお願いしますね」
「はい・・・」
 うなずく城戸、ひょうまはあきこをにらむ。
(余計なこと言ってくれる・・・)
 実の息子にもう胸のうちの相談なんかできるわけもないし、城戸が息子だからこのような状況になっているわけで。
 
 城戸と咲は幸せオーラを巻き散らかしてエレベーターの中に消えていった。
「ふう・・・」
 深いため息をつくひょうま。
「大丈夫?」
 すかさず声をかけられ、ひょうまは、先が思いやられ、ゆるく首を縦にふった。
「そろそろ行きましょう、おうちに着いたら荷解きもしなきゃねっ」
 あきこに促され、ひょうまはのろのろと立ち上がった。
 おきゅうに会いたい。
いつになったら本当の幸せをつかめるのか、ひょうまには、ゴールはわかっていても、たどり着けるとは到底思えず、不毛な日々を余儀なく過ごす己の姿しか今は想像できないでいる。  つづく