連載小説更新しました。
よろしくお願いします。
今夜は雨で巨人もヤクルトも中止になりました。
明日はなんとしても勝たねばなりません。
勝つしか道はない。


 マッキーS湖ナチュラルズチームドクター、かつ、ひょうまとおきゅうの息子である城戸涼介。
 勿論、2人が親であるなんてことは想像の外だ。
 目下のテーマは、高校時代の恋人だった有坂咲との結婚。
 高校時代、真剣交際していたにも関わらず、咲の父親によって別れさせられてしまった、理由は、城戸の両親の生死不明。咲の母親は施設育ちで、同じく両親が生死不明だったが、あるとき父親と名乗る男が現れ、金をせびったあげく母親を自殺に追い込んだという悲しい過去があったため。
 咲はその後、マッキーS湖ナチュラルズの投手美波理と見合いし、婚約までしようとしたときに城戸と再会、両者にかつての思いが再燃。
 有坂咲の父は、施設育ちかつ両親生死不明の人間=不幸な結果になる、と思いこんでいて、つまり不幸な結果になる男、城戸と一緒になったら咲も悲しい思いをするのではないかと思い込んでいた、のを、おきゅうのカウンセリングで考え方の癖を替えることができてきた。
 重ねて言うが、忙しい身であるおきゅうが、他を優先させてまでも有坂咲の父のカウンセリングを優先させた意味を城戸涼介は知らない。
 
 自身が幸せになろうとするときって、妙にほかのことが気になってくるもので。
 それは、ひょうまのこと。
 離婚記者会見を見たときはひどく驚いた。
 が、なんとなくすっきりしたような気もした。
 けーことのサプライズ復縁披露パーティのあと、ひょうまは、けーこと一緒にいようとしなかった。
 城戸と飲み歩こうとしていた。
 ひょうまの性格からしたらおかしい話だ。
 もうおおっぴらにけーこと一緒にいられるのだから、片時もけーこと離れたくないのではないか。
 けーこの前夫であるひょうまの親友半が、デブ専と再婚した夜、まだオフィシャルにはできない状態だったがひょうまは喜び勇んでけーこをみずうみのほとりホテルに呼び寄せ、めくるめく一夜を過ごしていた、翌日ひょうまの様子を見たときに満ち足りた時間を過ごしたと顔にはっきり書いてあった。
 そんなひょうまが、正式にけーこと復縁したなら、完全に誰はばかることなく、けーことべったり「復縁初夜」を堪能するはずではないのか。
 記者会見では、亡き恋人みーなのことが忘れられないと言っていたが、それは違うような気がする。
 そこについては城戸はもやもやしていた。
 
 とはいえ、基本線としては、有坂咲と今度こそちゃんと一緒になりたい。
 現状としては、城戸は信州、咲は東京、遠距離である、昔と違って金はあるが時間がない。
 だから、もっぱらスカイプで話すのだが、それも、毎日はできていない。
 ただ、昔から咲はそういうことについて不満を言わないので、城戸は助かっているし、ますます咲と早く一緒になりたいと思うのだ。
 咲の父に挨拶に行かねばならないが、咲の父も業務で忙しく、お互いの都合がつかない。
(まだ僕に会いたくないのかもしれない・・・)
 いくら考えかたが変わったといっても、相手が城戸涼介では、まだ心のつかえがあるのかもしれない。
 だが、咲が城戸とスカイプで話していることは父親は知っているし、何も言わないというし、それだけでも進歩したと城戸は思っている。
 それに・・・。
 今、城戸はちょっとテンションがあがっている。
 今日が休みだと言ったらさっきメールが来て、なんとこちらに向かう電車の中だという。
 本当はサプライズでいきなり来たかったようだが、万一城戸が不在だといけないと思ったらしい。
 せっせと部屋を片付けていたが・・・。
(みずうみのほとりホテルに行けばいいじゃないか)
 それくらいの贅沢は今や平気。
 みずうみのほとりホテルに予約を入れると、咲が来たら部屋から一歩も出ずにチェックアウトまで離れずにいたいとの欲望にかられ、着ていく洋服をとっかえひっかえ選びまくるのであった。  つづく