久々に連載更新しました。

 今、刺繡の作品を作ってて、ちょっと連載が滞っていますがすみません。

 刺繡も自分の設計作品に関しては、何らかの形で公開してみたいと思いますがまだスタイルが思いつかないので、当分はこのまま、野球と小説でいきたいと思います。


 石垣島。
 ホテルはコテージ式で、家族ごとに建屋が別れる、目の前はホテルのプライベートビーチになっており、宿泊客しか出入りできない。
 今回は、マッキーS湖ナチュラルズ貸切ということになっているので、他の客に気を使うなどの制約はないので気楽だ。
 ひょうまとけーこは、相変わらず傍目には仲のいい夫婦を取り繕いながらあてがわれたコテージに入った。
 ツインのベッドにほっとする。
 本島ではダブルベッドだったから、掃除をする部屋係が変に思わぬよう、一緒に使った風を装わなければならなかった、実際はひょうまはソファに寝ていたから。
(それに・・・)
 鼻形も使うダブルベッドに、いくらシーツを変えようと寝るのなんかいやだった。
 ツインベッド・・・。
 鼻形が来たら、けーこのベッドしか使わないだろう・・・。
(狭いと思うんだろうな)
 オール自由といっても、ひょうまは何もする予定もあてもない。
 けーこの予定も尋ねないし聞かれない。
 部屋に入ったら他人の二人、黙って互いの荷解きをする、顔を見ることもしない。
「あの・・・」
 よそ行きの声とはまったく違うけーこ。
「なに?」
「ひょうまさん、部屋にいます?」
「さあ・・・」
 言いかけてひょうまは、ああと悟った。
「いいよ、鼻形さんと自由に使ってくれ」
 あえて鼻形の名前を出した。
 ちょっと腹も立っている、けーこと鼻形は自由に逢えることに。
 ひょうまだって、城戸のころがなければ、とっくにけーこと離婚して、おきゅうをかっさらっていた、おきゅうが離婚できなくても、今のけーこと鼻形のような関係に持ち込むことだってできただろうに。
「すみません」
 全然抑揚のない声、儀礼的なけーこ。
「なあ、もし、俺がまた君とめくるめく関係を取り戻したいといったらどうする?」
 全然本意じゃないけど、簡単に鼻形と寝られる環境にいるけーこをちょっと困らせたくなったひょうま。
「え・・・!?」
 けーこの顔がパッと輝きかけるも、すぐ能面に。
「・・・もういいわ・・・疲れたわ・・・」
 ひょうまに背中を向けてしまった。
 たぶん、けーこは、本当に一生ひょうまの気持ちが揺るがない限りは気持ちが持たないと確信しているのだろう。
 行動に表せばまた別なのだろうが。
(・・・俺が無理か)
 もう二回も関係しようとして失敗しているし、本当に関係したい女はおきゅうだけなんだから。


 三門とおきゅうのコテージ。
 楽しいはずなのに、三門は身体が重かった。
 おきゅうと2人でこんなに長期間一緒にいられることなんて、近年まれに見る出来事。
しかも、おきゅうとひょうまも、おきゅうにどこの誰だかわからぬ男の子供がいることをひょうまも知ったことによって、あやしくなりかけたであろう関係もすっぱり切れたと確信しているので、安心しておきゅうと共に過ごしてきた。
おきゅうが心底三門に心がないことは重々承知、一緒にいてさえくれればいい・・・ただ、人間の心は「これでいいのだ」となかなか思えないもので。    つづく